現在も自分のことを対人恐怖症と思っていますが、もしかしたら統合失調症なのかもという気もしています。
というのも、対人恐怖症の症状(視線恐怖症咳・咳払い恐怖症など)と統合失調症の症状とで明確な違いがないように思うからです。

わたしは過去に受診した医療機関で統合失調症と診断されたことはありません。
しかし当ブログで対人恐怖症に関するさまざまな記事を書くにあたって調べ物をしているうちに、「対人恐怖症と統合失調症は似ているのでは?」という考えが強まってきました。

対人恐怖症の妄想はまさに統合失調症

妄想と幻覚

対人恐怖症にかかっていると、さまざまな妄想をしますよね。
たとえば脇見恐怖症なら隣の人に迷惑をかけているんじゃないか、とか。
自己視線恐怖症なら自分の目つきが相手を不快にしているんじゃないか、とか。
他者視線恐怖症なら周囲の人が自分を見ているんじゃないか、といった感じです。

こうした妄想は、統合失調症の症状とも考えられるようなのです。
精神科医の方が書いている「統合失調症の初期症状」というページを読んでみてください。
自覚症状はもちろん他覚的症状についても結構あてはまるのではないでしょうか。

また、別の心療内科・精神科による統合失調症の解説ページにも興味深い内容が載っています。
「陽性症状」の項目にある「妄想」という箇所に注目です。
被害妄想、注察妄想、関係妄想などは対人恐怖症の症状ともいえませんか。

脇見恐怖症は関係妄想と似ていますし、他者視線恐怖症は注察妄想に近い気がします。
被害妄想についても視線恐怖症に悩んでいる方なら抱いたことがあるはずです。
さらに咳・咳払い恐怖症に関しても、被害妄想・関係妄想に似ているといえるでしょう。

こうした精神科医の方たちの見解をみてみると、対人恐怖症と統合失調症に違いはないように思います。
もちろん対人恐怖症には赤面症や多汗症などいろいろな症状があるので一概にいえないかもしれません。
ただ、少なくとも視線恐怖症などについては、妄想や思い込みが根底にあるという点で統合失調症に似ていると考えることもできそうです。

幻覚・幻聴がなくても統合失調症と診断されうる

わたしはいままで、統合失調症といえば幻覚や幻聴がおもな症状だと思っていました。
しかしさきほど紹介したふたつのページをふまえると、幻覚・幻聴は統合失調症と診断するための必須条件ではないことがわかりますね。

ひとつめのページの関連ページ(「初期症状から急性期症状と病識の変遷」)では、妄想によって統合失調症の病状が進行していく経過が解説されています。
ふたつめのページでは、「妄想型」という統合失調症のタイプがあると明記されています。
つまり妄想の症状があるだけでも十分に統合失調症と診断できるわけです。

幻覚または幻聴がないからといって、自分のことを統合失調症ではないと判断するのは危険かもしれません。
間違って対人恐怖症治療のアプローチ(認知行動療法など)を行い続けた場合、病状がさらに悪化する恐れがあります。
本当は統合失調症であるなら投薬による治療が効果的でしょう。

統合失調症の判断基準は、自分で妄想に気づくかどうかだと思います。
何かについて思い込みを深めているとき、「根拠のないことだ」「気のせいだ」などと考えを改められるのなら対人恐怖症の範ちゅうであり、統合失調症ではありません。
恐怖はあるものの、その根底の妄想についてはまだ確信に至っていない状態です。

いっぽう自分の思い込みが事実であるように信じて疑わない場合、妄想は確信に変わっています。
このような状態は統合失調症の症状といえるでしょう。
たとえ幻覚も幻聴もなかったとしても、無理に認知行動療法などを行わず投薬治療も検討したほうが良さそうです。

視線恐怖症などの対人恐怖症は、その症状をふまえると統合失調症との違いがないということもできます。
妄想を妄想と思えなければ、もはや対人恐怖症ではなく統合失調症が慢性化しているのかもしれません。