表情恐怖症や笑顔恐怖症は対人恐怖症の一種といわれているため、その治療法(認知療法(認知行動療法)・森田療法など)と同じような考え方が有効でしょう。
わたしは表情恐怖症・笑顔恐怖症のほうは軽度ですが長いあいだ対人恐怖症であり、上記のような療法に少し手ごたえを感じています。
その観点から以下に4つの具体的方法をご紹介しますので、表情恐怖症または笑顔恐怖症を治すヒントになれば幸いです。
1. 症状に固執しない
対人恐怖症全般の治療においても大切なことといえますが、表情恐怖症ないし笑顔恐怖症に固執してはいけません。
自分の表情や笑顔にばかり注意するほど余計に顔が引きつったり、笑うときの顔がこわばったりしてしまいます。
そうはいっても、気にしないよう努めると逆に気になるものですよね。
自分の顔つきなどではなく、別のこと(会話の内容や相手の表情など)に意識を向けると良いでしょう。
「話をしっかり聞く」のは、対人恐怖症でなくても大切な会話術です。
または、人前で表情や笑顔が緊張する癖を自分の特徴として受け入れるのも有効だと考えています。
人は千差万別であるため、顔の引きつりやすい・こわばりやすい人がいても全然おかしなことではありません。
「自分は緊張が顔に出やすいタイプの人間なんだから仕方ない」などと開き直れば、表情恐怖症や笑顔恐怖症へのこだわりが小さくなるでしょう。
人から自分の表情・笑顔について指摘されると否定された気分になる方もいるかと思います。
しかしそこで悩んでしまえば、表情恐怖症・笑顔恐怖症の深みにはまってしまうだけです。
症状を改善させるためには、そのような指摘は無視したほうが賢明でしょう。
周囲の信頼できる人に表情恐怖・笑顔恐怖の悩みを打ち明けてみるのも、自分を受け入れやすくするひとつの方法です。
誰からも好かれる必要はなく、身の回りの大切な人に理解してもらうだけでも生きる自信が戻ってくるでしょう。
対人恐怖症は神経症の一種でもあり、固執すればするほど症状が悪化する病気といわれています。
逆に考えると表情恐怖症にしろ笑顔恐怖症にしろ、人生を通じて付き合っていく気持ちでいたほうが案外いつの間にか改善しているかもしれません。
2. 無理に表情・笑顔を作らない
1.の方法と少し似ていますが、人前で無理して表情や笑顔を作るのも逆効果でしょう。
対人恐怖症者は自分を良くみせようと過度な努力をしがちで、それだけ自分の表情にこだわってしまえば顔が余計に引きつったりこわばったりします。
笑えないときに無理やり笑う必要はないのです。
そもそも作り笑顔などは、どうしてもぎこちなく見えてしまいます。
そのせいで場の空気が変な感じになり、表情恐怖症者・笑顔恐怖症者にとってさらに苦しい状況にならないとも限りません。
自然な表情でいたほうが、その場の雰囲気も自然なものになるはずです。
ただし自然体であろうと努めるのもまた、症状に固執している状態といえます。
要は、人を前にしても自分の顔つきにばかり注意を払わないことが大切です。
3. 顔の作りについても悩まない
自分のことをブス・ブサイクと感じている方は、顔の作りそのものについても悩まないようにしましょう。
表情恐怖症ないし笑顔恐怖症を発症するのは、その人の顔ではなく考え方(妄想)に原因があります。
わたしは同じ対人恐怖症の一症状である視線恐怖症を治そうと目つきを整形したことがありますが、手術に成功したところで問題は解決しなかったです。
作りの悪い顔だから人前で笑ってはいけない…なんてことはありません。
「愛嬌のあるブス」という言葉があるように、豊かな表情や笑う姿はその人の印象を良いものに変えてくれます。
笑顔がくしゃくしゃになるのが嫌だという方もいるようですが、そんな顔つきに好感を持つ人はわたしも含めて多いです。
それに周囲の反応を自分の顔と結びつけて考えていると、どんどん症状が悪化してしまいますよ。
被害妄想や加害妄想をする癖が慢性化すれば、本格的な精神疾患(統合失調症など)も発症してしまうでしょう。
4. コンプレックスを解消する
あくまで補助的な手段ではありますが、表情・笑顔のコンプレックス解消に努力するのもひとつの手です。
たとえば鏡の前でいろんな表情や笑顔の練習をするのは効果的だと思います。
表情恐怖症・笑顔恐怖症になっている方は普段から顔の筋肉を動かしていない傾向にあるので、顔つきが無愛想だったり上手に笑えないのも当然といえるかもしれません。
練習を重ねれば表情が豊かでかつ笑顔も魅力的なものになり、やがて自信がついて症状を克服できる可能性があります。
特定の人が苦手なのであれば、その人を想像しながら練習するのも有効でしょう。
ほかにも表情を良くするために眉毛を整えたり口角を上げるメイクをしたりするのも定番の方法です。
笑うときの歯並びが気になるなら歯列矯正手術を受けたり、歯の黄ばみが嫌ならホワイトニングを施すのも悪くありません。
表情恐怖症や笑顔恐怖症を治療するにあたり大切なのは、それらの症状にこだわり続けないことです。
無理して表情を作ったり、原因を顔のせいにしていては問題の解決には至らないでしょう。
コンプレックス解消のため努力しても構いませんが、自分の考え方(妄想する癖)も矯正していってくださいね。