対人恐怖症・視線恐怖症の治療には薬も漢方も効かないと悟り、現在は認知行動療法に一定の効果を感じています。
ただデメリットもある気がしていて、とくに視線恐怖症に関しては認知行動療法でも治りそうにありません。
認知行動療法だけを実践するより、森田療法や自律訓練法などと併用したほうが良さそうです。
対人恐怖症には効果ありだが…
認知行動療法とは、遭遇した出来事に対する自動思考(自然に生じた妄想)のゆがみに気づき、自動思考にもとづく誤った行動も修正していく治療法のことです。
たとえば電車で座っていて目の前の人が咳払いをしたとき、「自分の存在のせいで相手は不快になったんだ」などと考えるのを止め、その相手を避けるような態度(顔を下に向ける、座席を移動するなど)も控えるようにします。
わたしは自宅療養中に引きこもっていたとき、対人恐怖症がまったく改善しませんでした。
精神科でもらった薬を飲むことしかせず、自分の妄想癖(被害妄想や加害妄想)を修正しようと行動していなかったからかもしれません。
ただただ毎日、自分の苦しみが親や医師に理解されないことに不満をつのらせていただけだったのです。
しかし昔の彼女(現在の妻)と再会してからというもの、対人恐怖心が少しつづ小さくなってきたと感じています。
おかしな被害妄想や加害妄想に気づけるようになり、人前で普通にふるまえるようにもなってきました。
健常者である彼女との定期的な外出や共同生活が認知行動療法の良い機会になっているのでしょう。
とはいえ認知行動療法に効果を実感するいっぽうで、前述のような修正作業がデメリットになっている気もしています。
ことあるごとに対人恐怖症の諸症状に真正面から向き合い続けていると、逆に恐怖や不安が強まってしまう場面も多々あるからです(たとえば「人がこわい」という感情にとらわれてしまうと、余計に人がこわくなったりします)。
また視線恐怖症(とくに脇見恐怖症・自己視線恐怖症・他者視線恐怖症)については、認知行動療法を実践しても現時点では改善が見られません…。
人前に出ると「見られている気がする」「見てしまった」などの自動思考がどうしても湧き出してしまいます。
わたしの中に対人恐怖心がまだまだ残っているからでしょう。
森田療法との併用がベター
森田療法とは、心に浮かぶ恐怖や不安にとらわれすぎず、そのまま日々のやるべきことをこなしていく治療法のことです。
たとえば外へ用事があるとき、人・視線にこわさを感じてもそこで立ち止まらずに用事をすませます。
わたしの個人的解釈ですが、認知行動療法とは違って対人恐怖症に正面から向き合うものではありません。
むしろ自分自身を病気と思わず、健常者と同じように生活していくなかで自然治癒を目指す方法です。
前述した認知行動療法のデメリットに対しては、このような特徴をもつ森田療法が代替案のひとつになると考えています。
日常生活の用事で自動思考に固執しすぎたときは、それはそのままにして目の前の用事をこなしていけば良いのではないでしょうか。
わたしは認知行動療法を基本として生活し、恐怖が消え去らないときや不安が強まったときに森田療法を実践しています。
あるがままで行動していると、そのうち恐怖・不安が多少なりとも弱まるものです。
「あるがまま」といっても、そのまま妄想をふくらませていってはいけません。
恐怖ないし不安にとらわれ続けてしまいます。
そうではなく、いったん横に置いておきながら目の前の物事に取り組むことが大切です。
ちなみに森田療法のみで視線恐怖症を治療できるかどうかはわかりません。
あるがままを心がければ恐怖心は多少おさまりますが、依然として人や自分の視線が過度に気になります。
自律訓練法も多少の効果あり
自律訓練法とは、自分の身体に意識を向けることを通じて精神のコントロール力を鍛える治療法のことです。
同様のものとして、マインドフルネス瞑想(自分の呼吸に意識を向ける治療法)があります。
認知行動療法のデメリットへのもうひとつの対処法としては、こうした自律訓練法なども効果があるでしょう。
恐怖・不安への執着が強まった際は、自身や呼吸に注意すれば妄想の暴走が止まるはずです。
わたしは静止しているときに、自律訓練法やマインドフルネス瞑想を実践しています。
電車内での着席中や自宅ベットでの就寝前などでは、森田療法があまり使えません。
そのような場面では「やるべきこと」というものが見つかりにくいからです。
静止状態では、自分の体や呼吸の動きに着目したほうが妄想の悪循環から抜けられると感じています。
逆に行動している最中は、自律訓練法もマインドフルネス瞑想も効果はあまり期待できないでしょう。
こなすべき用事について考えている状態なので、自身や呼吸に十分な注意を向けられません。
また視線恐怖症に対しても、自律訓練法やマインドフルネス瞑想を実践したところで症状はあい変わらずです。
妄想の「暴走」は止められますが、それでも人前に出ると「見てしまった」「見られている」などの雑念がよく生じます。
認知行動療法は対人恐怖症治療にも一定の効果はあるでしょう。
デメリットもないわけではないので、森田療法・自律訓練法・マインドフルネス瞑想との併用がおすすめです。
ただ視線恐怖症については、これらの療法を実践しても治るかどうかわかりません。