一人暮らしを始めてみるも親に頼ってほとんど引きこもっていたころ、昔つきあっていた元彼女(現在は妻)と再会をしました。
この再会をきっかけに外出の頻度が増え、対人恐怖症のリハビリをする機会も増えていくことになります。

悩みながらも元彼女と再会

彼女からの携帯メール

実家を出て一人暮らしを始めてから1年ちょっと経ったころ、静かな住環境を求めて別のアパートに引っ越しました。
ちょうどそのタイミングで、公務員時代(わずか半年でクビになりましたが)につきあっていた元彼女からひさびさにメールがあったんです。
内容は「最近どう?」という、よくある近況うかがい。

メールに返信しようかどうか悩みました。
理由は自分の対人恐怖症です。
その彼女は、わたしが対人恐怖症であることは少しだけ知っています。
しかし会わないあいだに症状が悪化してしまったことは知りません。
だから、わたしとまた遊び始めたら彼女に迷惑をかけると思いました。
外出がこわくて約束をドタキャンしたり、人がこわくて電話に出なかったりしてしまうからです。
彼女の年齢は結婚適齢期でもあったので、わたしと遊ぶ時間があるなら健常者の結婚相手を探したほうが良いとも考えました。

ところが結局、返信をしてしまったのです(汗)。
引っ越したばかりで気分がリフレッシュされていたからだと思います。
わたしは気分屋な性格なので、心機一転メールをしてみようと勢いづいていたんでしょう。

メールでやり取りをした数日後、元彼女が自宅アパートにやってくることになりました。
遠方からはるばる2時間くらいかけて車を運転してやってきたんですが、どうも彼女を歓迎する気になれません。
やはり会わないほうが良いとの考えがずっと頭の中にあったからです。
対人恐怖症のせいで人とがっつり会うのが緊張するという理由もあります。
結局その日は部屋で1時間ほど会話をしただけで、無理やり帰してしまいました。
彼女の往復の移動時間よりも短い…(汗)。

「嫌われたかな。でもこれで良いんだ」と思っていましたが、なんとその日を過ぎても元彼女からの連絡が頻繁にあったんです。
自分にかまってくる理由は今でもわかりません。
再会してからは月に数回くらい彼女が自宅へ遊びにくるようになりました。

外出する機会が増え、対人恐怖症のリハビリに

ちょくちょく元彼女と会うようになり、外出の機会も増えていくことになります。
家でじっとしていられないタイプの人なので困ったものです…。
結果として、対人恐怖症のリハビリを定期的に行う形になりました。

ファミレス、カフェ、ショッピングモール、デパート、カラオケ、ゲームセンター、映画館、美術館、プラネタリウム、水族館、動物園、遊園地、各地の観光名所…などなど。
対人恐怖症になってからコンビニやスーパーにしかほとんど行かなかったので、どれもが初体験のように感じました。
自分が引きこもっているあいだも世界は動いていたんだなと実感したものです。

5年ぶりくらいに電車に何度か乗りましたが、まだまだこわかったですね。
また中古の軽自動車を買い、その車でひとり元彼女の家へ行ったりもしました。 
飛行機に乗ってふたりで海外旅行にまで行ったこともあります。
まさか日本を飛び出すなんて、実家で引きこもっていたころはまったく想像していませんでしたよ。

彼女はわたしが対人恐怖症であることを考えて、外出先の難易度を順番に上げていったようです。
最初は完全個室のカラオケボックスに行くことすら強く嫌がったわたしでしたが、少しずつ行動範囲を広げていき、ほかの場所でもリハビリをするようになっていきました。
こちらが拒否しても無理やり連れて行かれたりするので荒療治ではあるんですが…。

いまも対人恐怖症は完治していませんが、彼女と一緒ならどこへでも外出できるという程度にはなりました。
あの日の再会をきっかけにまさかここまで行動範囲が広がるとは…。

おかげで普段ひとりで外に出ることに対して以前ほどは緊張しなくなった気もしています。
リハビリはまだまだ途中ですが、元彼女(妻)に感謝を伝えたいです。