高校3年生から予備校生のころにかけて発症・悪化したのが、他者視線恐怖症です(統合失調症の場合は「注察妄想」というようです)。
すでに悩んでいた脇見恐怖症や自己視線恐怖症はいわば自分の視線を気にするものですが、今度は他人の視線まで気になるようになってしまいました。
他者視線恐怖症になった原因
わたしが他者視線恐怖症を発症した原因は第一に脇見恐怖症です。
「脇見恐怖症が発症した高校生時代。きっかけは隣の席の貧乏ゆすり」という記事で少し触れましたが、脇見恐怖症になってから視界が少しづつ広がっていくことになります。
授業中やテスト中などに、斜めうしろの席やうしろの席の人の挙動まで気にするようになったんですね。
不幸なことに脇見恐怖症で苦しんでいた当時は廊下側の一番前の席だったので、黒板がとても見づらく余計に後方の視線が気になりました。
そのような状態でいると、これも脇見恐怖症のときと同じで、周囲の席の人たちがわたしの気配を感じているようなそぶりを見せるんです。
足をジタバタさせたり、ため息や舌打ちをしたり…。
ひどいときは、隣の席の女子から「なんで見てくるの?むかつくー!」と声に出して言われたこともあります…。
そうした態度をみて、わたしはまた妄想(関係妄想)を膨らませていきました。
自分の脇見はバレているんだ。
やはり実際に横目でチラチラ見てしまうから相手は不快感を示しているのかもしれない…と。
こうした妄想をきっかけに、他人の視線を避けながら行動するようになりました。
他人に見られないようにしておけば脇見をバレずに済む、と考えたわけですね。
授業中はずっと寝たふりをしていましたし、好きな席に座れる授業では必ず一番うしろの席を選んだりしました。
しかしそうした逃避行動によって、今度は他人に見られることに恐怖を抱くようになっていきます。
逃げれば逃げるほど、他人の視線が気になる。
今回は大丈夫だったけど、今度は見られたらどうしよう。
いつ脇見に気づかれるかわからない。
また横目でチラ見しているのがバレて不快な態度を示されたらショックだな…。
不安や恐怖がどんどん膨らんでいきました。
他者視線恐怖症の発症です。
自分の顔にコンプレックスをもっていたことも大きな原因だと思っています。
当時すれ違う人たち(とくに他校の女子高校生)に顔を評価されている気がして(実際に笑われたこともあります)、視線から逃げるように顔を下に向けていました。
脇見とは関係なく、そもそも顔の見た目が悪いから舌打ちなどの不快な反応をされるのかもしれないという妄想も強かったんです。
そうした被害妄想を抱き続けた結果、他人の視線がますますこわくなってしまいました。
上京して症状が悪化
大学受験に失敗し高校卒業後に予備校生となってからは、さらに他者視線恐怖症の症状が悪化していくことになります。
親元から離れ、都会の予備校とその寮で浪人生活をおくっていたころの話です。
田舎者だからでしょうか、都会は人が多すぎるからでしょうか、上京して人目がもっと気になるようになりました。
健常者でも田舎から上京すれば人目は気になるものですが、年月が経てば慣れていくものでしょう。
しかしわたしは症状が悪化していってしまったんです。
道端や駅内ですれ違う人、店の中にいる人、電車内の人、横断歩道をわたるとき信号待ちの車の中にいる人などなど、いろんな他人の視線が気になって仕方ありません。
この人はすれ違いざまに脇見に感づいてしまうかな。
あそこにいる人はわたしが横目で見ていることに気づいているっぽい。
舌打ちをされた!チラ見しすぎてしまったんだろうか…。
そんな妄想の日々。
脇民だということがバレたら嫌だ、バレるとこわいという意識から人の視線にいつもおびえていました。
他人にジロジロ見られているかも…という注察妄想の癖が付いていたように思います。
ひどいときは道ですれ違う車の一台一台から見られている気分になったり、建物からも人にのぞかれている気がしたものです。
街角や電車に貼ってある人物ポスターから視線を感じることもありましたし…。
見た目のコンプレックスからくる被害妄想にもあいかわらず悩まされ続けました。
予備校の授業では、高校生のころと変わらず一番うしろの席を死守。
運が悪く大教室の真ん中あたりで授業を受けたときは生きた心地がしなかったです。
わたしの脇見が隣やうしろの誰かにバレるかも…。
うしろの席の人が黒板をみながらわたしも見ているかも…。
あそこにいる女子グループがわたしの外見を評価して笑っている気がする…。
悪い妄想がグルグル頭の中で回っていました。
外出恐怖症にもなりかける
こうして症状が悪くなっていくにつれ、外出先で一人で行動することに不安を感じるようにもなっていきます。
脇見恐怖症になったばかりのころ本屋では立ち読みができないだけでしたが、他者視線恐怖症になってからは店員や客の視線が気になって店内をうろつくことすら苦痛になりました。
コンビニや洋服屋での買い物もどこか落ち着かず、誰かに見られている気がして焦燥感を覚えます。
またデパート、スーパーやホームセンターのような広い店では、万引きGメン的な店員に監視されている気もしたものです(嫌疑恐怖症とまではいいませんが)。
店内に入ると挙動不審になるので、実際に万引きを疑われていたかもしれません(汗)。
高校の友人や予備校の仲間と一緒のときはあまり他人が気にならないんですが、単独行動だと他者視線恐怖症が全開モードになってしまいます。
まわりからの視線がこわくて、人のいる場所を避けるようになりました。
さらには外出すること自体にも不安を持つようになってしまっています。
(のちに外出恐怖症も本格的に発症しました。)
脇見恐怖症から生じた被害妄想と逃避行動、顔へのコンプレックス、上京。
わたしの場合、この3つが他者視線恐怖症の大きな原因です。
とくに都会に引っ越したのは、誤った選択でした。
地元の田舎で過ごしていれば、あそこまで症状が早く悪化しなかった気がします。
都会は人が多いぶん、日々いろんな人の反応(咳、咳払い、鼻すすり、舌打ち、ため息、貧乏ゆすりなど)を目の当たりにしてしまうからです。
脇見や自己視線でそういう反応をされたんだという関係妄想・被害妄想そして注察妄想までもが膨らんでいきやすい環境だといえるでしょう。
田舎住まいの脇民の方は地元で過ごし続けるのが無難なのではないでしょうか。
都会には(他者)視線恐怖症になってしまうきっかけがあちこちに転がっているように思います。