引きこもり脱出をあきらめ堕落した生活をおくっているなか、両親との関係は険悪になっていきます。
アカシジアの件もあり、両親に対するわたしの信頼は薄らいでいきました、
とくに父親との仲は良いものではなく、口論をきっかけに家出を決意。
収入も貯金も多くありませんでしたが、一人暮らしを始めずにはいられなかったんです。

両親と仲が悪くなり実家に居づらくなる

親とけんかをして家出

引きこもり生活が長期化するにつれ、両親との仲が悪くなりました。
夜中おきていると、隣の部屋(両親の寝室)から父親が壁を叩いてきます。
徹夜でアニメをみていて、父親に「情けねぇよ!」と怒鳴られることもありました(わたしが悪いんですけどね汗)。
母親には愛想をつかされている感じで、話しかけても心から応じてくれていなかった気がします。
自分の家事のことで精一杯、みたいな。
掃除中に話しかけたら「いい加減にしろ!」と訳もわからずキレられたこともあります。

親どうしの口論・けんかも増えてきていました。
2階の自室に引きこもっていても、ふたりが言い争っているのがわかります。
1階のリビングから父親の怒鳴り声やテーブルを叩く音が聞こえてきたり…。
玄関で母親が床に食器をガシャンガシャンと投げつけていたり…。

家族みんながバラバラになっているという実感がありました。
おそらく両親は、わたしの引きこもり問題が解決しないことにイライラしていたんだと思います。
自分たちではどうしようもできない現状に自暴自棄になっていたのかもしれません。
家じゅうにグレーのどんよりした雰囲気がただよっていた感じです。

こうして家庭環境が悪化し、わたしはますます実家に居づらくなりました。
すべての元凶は自分自身だと思ったからです。
引きこもりを脱出しないとさらに悪いことが起きるかもしれないという不安もありました。
当時ニュース番組で引きこもりを原因とした殺人事件がたまに報道されているのをみて、自分の家も他人事ではないと感じたわけです。

そう考えてから家出の準備として、インターネット上の仕事(アフィリエイト)を再開することになります。
ネットで少しずつお金を稼ぎ、引っ越しの資金を貯めていったのです。

父親との口論で家出を決意する

アフィリエイトを再び始めてみたものの、一人暮らしができるほどの収入はなかなか得られません。
以前の失敗経験を思い出し、やはり自分に自営業は向いていないと感じました。

そこで考えたのが、実家近くの自動車整備工場で働くことです。
正社員への再就職も以前に失敗していますが、あちらは都会のデスクワークで視線恐怖症のわたしには地獄のようなもの。
田舎の肉体労働であれば、人の視線を気にせず仕事ができると思ったんです。
体を動かすことは心の安定にも良さそうですし、大手の工場なので給料などの待遇面も魅力的でした。

ところがある日の晩、父親に相談したところ猛反対をされてしまいます。
「普段ろくに車を運転していないのに、そんな仕事できるわけない」と頭ごなしに否定されたのです。
たしかに納得はできます。
しかし当時のわたしは常に自分の意見を否定してくる父親にムカついていたので、引き下がりませんでした。
「では今から車の運転を練習してきていいですか?」と聞き返したわけです。
するとこれもまた「夜の運転は危ないからダメだ」とすぐに否定されました。
「昼は人目が気になって運転に集中できないから夜のほうが…」と言っても理解してくれません。

らちが明かないので同じ場にいた母親に車の鍵を貸すよう強く言ったところ、父親が激怒。
身を乗り出してわたしのほうに襲いかかってきました。
思わず逃げ出し、リビングの窓から飛び出そうとパニックになるわたし。
「かかって来いよ!」と物凄い剣幕で挑発してくる父親。
「お父さん止めて!」と泣きながら止めようとする母親。
いま振り返るとまるでドラマのワンシーンのようですが(苦笑)、あのときは本当に父がこわかったです。

父親と激しい口論をし、わたしは家出を完全に決意しました。
自分の意見が絶対という父親が嫌いだったからです。
息子が引きこもりをやめて働こうとしているのだから少しは応援してくれても良いのに…。

母親が父親の前では絶対服従の状態でいるのも好きではありません。
口論になるといつも1対2の状況になることにムカついていました。
実家にいても結局ひとりだと悟り、家を出る決意をしたわけです。

収入も貯金も少ないなか一人暮らしを始める

家出を決意して数週間後、アフィリエイトで月収10万円くらいは稼げるようになっていました。
とはいえ一人暮らしの生活費としては心もとない金額ですね。
貯金も少ない状況だったので、外でバイトをする覚悟も決めていました。
ちなみに整備工場で正社員として働くのは止めています。
ネットの仕事に手ごたえをつかみ始めていたからです。

親子げんかはしたものの、そして実家の近くに住むという条件付きでしたが、引っ越しに両親は協力してくれました。
物件探しに母親が付き添ってくれたり。
賃貸契約の保証人に父親がなってくれたりしました。
引っ越し当日の作業も家族みんなで行い、少しだけ仲が戻ったのは良かったです。

一人暮らしを始めて数日後。
自宅アパートに母親がやってきて昼食を一緒に食べていたんですが、そのとき母がみせた晴れやかな顔が忘れられません。
その表情をみて「やはり自分は実家のお荷物だったんだなぁ」と、さびしさを感じました。
と同時に、「家を出て良かったな。家族の問題がひとまず解決したんだな」とも思いました。

自分の問題(ネット収入で食っていけるかどうか)は少しも解決していなかったですけどね(汗)。
あれから死ぬ気で働き続けましたよ。
いまはネット収入で生活を続けられています。

引きこもりが長期化すると両親との仲は悪くなり、実家に居づらくなりがちだと思います。
でもわたしの場合、その居づらさが引きこもり脱出の原動力になりました。
たとえお金がない状況で一人暮らしを始めても、生存本能があれば生き延びられるものです。