先日、対人恐怖症の根本原因を3つ書きました。
「根本原因」と表記しましたが、それらを形づくる家庭環境(または親の存在)というのもある気がしています。
そこで当記事では、わたしの家族について振り返りながら、対人恐怖症や視線恐怖症になりやすそうな家庭環境・親の特徴を6つまとめてみました。
100パーセント家庭環境のせいにしたいわけではありませんが、もしわたしと同じような環境で育った対人恐怖症者が多いのであれば、ある程度のパターン化はできそうです。
1. 親がこわい
両親(またはどちらかの親)がこわいと、その子どもは親におびえながら暮らすようになります。
その結果、人の目を気にしやすい子どもとして育ってしまい、やがて対人恐怖症(視線恐怖症)になってしまうわけです。
身近な人に対して恐怖を抱いてしまうのですから、他人に対して恐怖を感じやすくなるのは自然なことでしょう。
わたしの家では父親がこわく、かつ気分屋の性格で急に激怒したりします。
なので子どもとしては、いつ怒るかわからずビクビクしながら過ごしていました。
父と同じ空間にいると監視されているような気分になったものです。
また親がこわいと、子どものほうからあまり話しかけられません。
そのため、(とくに目上の)人とのコミュニケーションが苦手になるという悪影響もあるでしょう。
実際わたしも父と会話をほとんどしなくなってから、内向的な性格になっていったと感じています。
2. 親が独裁者
独裁者のようにふるまう親がいる家庭では、子どもは不信感を抱きやすくなります。
自分の意見を親が聞いてくれない、つまり自分を信じてもらえないと、その裏返しとして親を信じられなくなり人を疑いの目でみてしまうのです。
対人恐怖症が発症しやすい家庭環境といえます。
わたしの家も父親の言うこと(命令)を聞くことが絶対でした。
こちらから意見をしても「所詮は子どもが考えること」という感じで、真剣に相手をしてくれません。
父の命令にそむけば「勝手にしろ」と極端な態度をとられ、こちらが悪者であるかのような気分にさせられます。
また母親は父に従順で、わたしの味方をすることはほとんどなかったです。
いつも2対1の状況なので、「相談しても否定されるだけ」という気持ちが大きくなっていきました。
人生経験の多さをふまえれば親の意見のほうが正しいのはわかりますが、自分の意見を否定され続けたことで自己肯定感がなくなり不信感が高まったのは間違いありません。
3. 親が過保護
親が過保護だと、子どもは嫌なことは何でも親に頼るようになってしまいます。
そのため逃げ癖がつきやすく(恐怖に立ち向かう力が乏しくなり)、対人恐怖や視線恐怖を本格化させやすいのです。
わたしの母親は過保護で、身の回りのあれこれを常に行ってくれました。
おかげでこちらは楽で助かりましたが、自分で物事にあたる力、嫌なことでも自分でなんとかしようという勇気が育ちにくかったのは確かです。
親が対応できないような問題にぶち当たったときは、逃げることが真っ先に浮かんでいたように思います。
脇見恐怖症が発症したときは、ただただ恐怖にふるえているしかありませんでした。
自分で脇見恐怖の改善に向けて行動しようという気持ちにならなかったわけです。
自立心が育ってきていれば、逃げてばかりでなく前向きに行動していた気がします。
4. 親が批判的・悲観的
親の批判的な言動や悲観的な考え方をみていれば、その子どもも似たような思考パターンになります。
人に嫌悪感や不信感を抱きやすいネガティブな性格になりやすく、やがては対人恐怖症になる場合もあるでしょう。
わたしの両親はどちらかというと人を批評・批判するタイプで、親戚、職場や近所の人について愚痴や悪口を言っていました。
なのでわたしも自然と人を批判する癖がついてしまったのかもしれません。
人の良い面をみつけるのが下手で、悪い面を大きくみてしまうようになりました。
また父親は悲観的な性格で、いつも最悪のシナリオを想定しながら行動するような人です。
わたしのネガティブシンキングは確実に父の影響でしょう。
また考え方が極端でもあり、こうした「全か無か思考」もメンタルヘルス的には良くありません(白・黒ハッキリさせるのではなく、ほどほどにという考え方が大切です) 。
5. コミュニケーションが少ない
家族のコミュニケーションは生まれたときから行うものであり、もっとも基本的な人間関係です。
それが少なくなれば、なんらかの心理的な影響が出てもおかしくありません。
わたしの家族は昔は仲が良かったと記憶していますが、わたしが高校生になってからコミュニケーションが明らかに減りました。
わたし自身が勉強で忙しく部屋に閉じこもりがちになりましたし、親や弟も勉強の邪魔をしないようにと積極的に話しかけてこなくなったため、しだいに距離が広がっていったように思います。
そのことに当時は何も感じていなかったんですが、いま思うと一種のターニングポイントだったと感じます。
悩みごとがあっても「どうせわからないだろう」と相談せず自分だけで抱えるようになっていき、脇見恐怖症などの対人恐怖症が悪化したのかもしれません。
6. 役割が固定されている
親は親として、子どもは子どもとして役割が固定されハッキリ線引きされている家庭環境はどこか息苦しいものです。
対人恐怖症にならないためには心を自由にすることも大切ですから、上記のような環境だと対人恐怖症になりやすいと考えられます。
わたしは実家では長男としての役割を意識して暮らしてきました。
「お兄ちゃんなんだから」「長男はこうあるべき」などと言われ育ってきたためです。
だから兄として弟から信頼され、また長男として家の名を上げるような気持ちで大学進学を目指したんだと思います。
しかし大学受験は失敗。
自分の果たすべき役割と現実のギャップに悩み、心が疲れてしまったんでしょう。
視線恐怖症だけでなく、咳・咳払い恐怖症など対人恐怖症の諸症状を発症してしまいました。
いろいろ列挙しましたが、基本的には家庭環境の原因としては親が大きな割合を占めていると思っています。
親しだいで子どもの心理的成長が左右されるといっても過言ではありません。
だからといって親や家庭環境を責めても対人恐怖症・視線恐怖症は改善しないでしょう。
親は子どもを対人恐怖症にしようと思って育てていないはずですからね(親も祖父・祖母から何かしらの影響は受けているはずですので、犯人探しをしても仕方ないことです)。
自分の考え方や行動・ふるまいを変えるよう努力したほうが、症状改善の可能性はあります。