対人恐怖症や視線恐怖症のまま生活していると、あいさつすることに苦手意識がありますよね(もともと人見知りだとさらに苦手になりますね)。
人をこわいと感じる病気なわけですから当然だと思います。

しかしやはり、あいさつは人間社会を生きるうえで大切です。
そしてわたし自身、対人恐怖症(視線恐怖症)であるからこそ感じるメリットも少なくありません。

とはいえ依然としてあいさつへの苦手意識が根深いので、記事後半で紹介しているような克服法を実践しています。
わたしと同じような対人恐怖症者・視線恐怖症者の方の参考になれば幸いです。

対人恐怖症だから感じる、あいさつのメリット

対人恐怖症や視線恐怖症を持つわたしの視点で、あいさつすることのメリットを6つまとめました。

1. 在宅でリハビリできる

笑顔であいさつ

あいさつは人に対して行うものなので、もちろん対人恐怖症のリハビリになります。
同居人がいるなら在宅でも実践可能であり、外出がこわい人にとっては貴重なリハビリといえるでしょう。
「おはよう」「おやすみ」「いただきます」「ごちそうさま」といったあいさつを毎日するうちに、自分の考え方や人間関係などが変わっていくはずです。

ひとり暮らしの引きこもり状態でも実践できなくはありません。
家族や友人・知人との電話であいさつできますし、通販の宅配業者さんに「こんにちは」「こんばんは」「ご苦労さまです」「ありがとうございました」などとあいさつするのも良いですね。

2. 対人恐怖がやわらぐ

あいさつの習慣がつくと、対人恐怖や視線恐怖が多少なりともやわらぎます。
普段あいさつを交わす相手だけでなく、それ以外の人・他人に対しても恐怖が小さくなったりするのです。

最低限でもいいので人とのコミュニケーションから逃げずにいることで、少しずつ人という存在に慣れていけるのでしょう。
あいさつという、すがすがしい行為が人への敵意を小さくしてくれているようにも思います。

3. 相手の警戒心を解ける

おもに親しくない人や他人とのあいさつに関してのメリットです。
対人恐怖症で挙動不審だったり視線恐怖症で目がキョロキョロしたりすると人にあやしまれたり恐れられたりしますが、あいさつでそういった警戒心・不信感を解くこともできます。

人(とくに一般的な大人)は、あいさつをする人に対して悪い印象を持ちません。
たとえ動きや目つきがおかしくみえていても、あいさつひとつで印象が逆転したりするわけです。

もちろん自分自身の対人恐怖がやわらいだおかげでもあるでしょう。
「人は鏡」なので、こちらが警戒心を見せなければ相手も警戒してこないものです。

4. 思いやりの心が育つ

あいさつができるようになると、人を思いやる心も育っていく気がします。
少なくともあいさつした前後は、相手への配慮の気持ちがわずかにでも生じているはずです。

対人恐怖症に悩みながら生きていると、ついつい自己中心的になりがちなのは否めません。
そんな状態を防いでくれるのがあいさつであり、人間関係での孤立化を防いでくれるでしょう。

5. 前向きになる

また、対人恐怖症・視線恐怖症になっていると物事をネガティブに考えがちですね。
しかし、あいさつをしてしばらくは不思議と前向きになりやすいと実感しています。

前述した思いやりの心で相手とコミュニケーションを交わすからかもしれません。
相手からの気づかいも感じたときは、直前まで暗い気分でも明るくなれるものです。

6. 会話を練習できる

人との会話が苦手な対人恐怖症者・視線恐怖症者にとっては、あいさつだけでも良い練習になります。
また、声帯萎縮症(長いあいだ話さないでいると声が出にくくなる症状)の予防にもなるでしょう。

会話を練習しようと思っても、人にどう話しかければ良いかわかりませんよね。
あいさつをきっかけにすれば、突然しゃべるよりは会話を始めやすくなるはずです。

あいさつの苦手意識を克服する方法

ではあいさつの苦手意識をどう克服するかというと、以下の3つの方法が有効だと考えています。

1. 相手の反応を妄想しない

あいさつの前に、その相手がどんな反応をするか妄想しないことが大切です。
悪い妄想がふくらめば、余計にあいさつがしづらくなってしまうでしょう。

対人恐怖症者や視線恐怖症者にあいさつされて不快になる人は、家族・友人などはもちろん他人でもほとんどいません。
むしろ社会では、あいさつのないことのほうが失礼だと思われたりします。

また、自分が思い込んでいるほど他人は外見だけで対人恐怖症者(視線恐怖症者)を区別できません。
なので変にいろいろと考えずに、シンプルにあいさつすれば良いのです。

2. 自分からあいさつする

あいさつは基本的に自分のほうから行います。
相手があいさつするのを待っていると声かけのタイミングがわからなくなるからです。

また、そうした「待ち」の態度でいると無意識に相手を凝視してしまう(見つめてしまったり、にらんでしまう)恐れもあります。
職場の上司、学校の先生などが相手の場合は失礼な行為といえるでしょう。

視界内で相手を認識してあいさつのことを考えたら、自分から声を掛けたほうが無難です。
少し離れた距離に相手がいるなら声は届かないでしょうから、手をふったり会釈などを先にしておくのも良いですね。

3. しっかりあいさつする

あいさつは適当にすませるのではなく、しっかりと行います。
丁寧な言葉・動作というより、相手に対して心をこめてあいさつすることが大切です。

対人恐怖症になると、人前では逃げるようにあいさつしてしまいませんか。
または視線恐怖症になると、人の目線から逃げるような目つきであいさつしてしまいませんか。
それでは相手にあいさつが伝わりにくいうえに不審がられ、余計に苦手意識が高まってしまいます。

しっかりあいさつしようと心がけると、姿勢や目つきが堂々としたものになるはずです。
相手から不審に思われる頻度が減り、あいさつの自信がさらにつくでしょう。

対人恐怖症者にとっても視線恐怖症にとっても、あいさつは健常者よりも多くのメリットがあります。
前述した3つの方法を参考にしながら苦手意識を克服してみてください。