大学2年生のとき、対人恐怖症を抱えながらも自動車教習所の合宿免許(合宿教習)にひとりで参加しました。
やはり症状で苦しい思いをしたり、つらい出来事があったりしたものです。
この記事では、合宿参加から教習所を卒業するまでの体験談を書いてみます。
合宿前日~当日の話
合宿免許には、自宅アパートから遠く離れた田舎の自動車教習所で参加しました。
料金が安かったのと、実家からまぁまぁ近い場所にあったのが理由です。
合宿前日に教習所の最寄り駅から送迎バスに乗るわけですが、この時点ですでに気分は憂うつモード…。
バスも電車と同じく、視線恐怖症や咳・咳払い恐怖症のせいで緊張しっぱなしでした。
自宅近辺では見かけないような田舎ヤンキー集団と同じ車内にいることもこわかったですし、まわりの人たちは楽しそうにしていてすごく孤独感(ぼっち感)を覚えたものです。
友だちと一緒に参加すれば良かったなと激しく後悔したのを覚えています。
教習所に着いてからは近くの宿泊施設(ホテル)に移動し、個室だったのでようやく緊張から解放された気分になりました。
相部屋のホテル(旅館)を用意している教習所もありますが、対人恐怖症ならやはり個室にしたほうが落ち着きますね。
しかしそのホテルでは、食事を食堂でとらなければなりませんでした。
毎日、朝と晩の2回、知らない人たちと同じ空間で食事をとるのは苦痛です。
人の視線や咳(咳払い)が気になるのはもちろん、孤独感から食事を少しも楽しめません。
このままでは今後の合宿生活が思いやられるなと感じ、その日のうちに友だちを作りました。
同じホテルに泊まっていた男子に勇気をもって話しかけ、翌日からその人と一緒に食事をとることになりひと安心。
まわりはあい変わらず気になりますが、少なくとも孤独感は小さくなりました。
つらかったのは、とあるヤンキー男がわたしの対人恐怖症(視線恐怖症)に気づいているようだったことです。
ある日その男がわたしのほうを見ながら「あいつチラチラ見てくるし様子おかしくね?」とまわりに話しているのを目撃しました。
こんな遠く離れた地でもすぐ気づかれるなんて自分は余程あやしく見えるんだなとショックを受けたものです。
なぜかわたしの挙動不審ぶりに気づくのってヤンキーが多い気がします…。
あいつらも常にキョロキョロしながら徘徊しているためでしょうか。
ちなみに昼食については、近くのスーパーやコンビニで買っていました。
対人恐怖症者にはこれも苦痛ですが、合宿に限った話ではありませんね(苦笑)。
お風呂は部屋に浴室があるので快適でした。
やはり教習所によっては共同浴場しかない場合もあるので注意したほうが良いですよ。
教習が始まってからの話
合宿免許では技能と学科の授業を2週間くらい毎日、受けることになります。
短期集中型なので、だいたい午前中から夕方くらいまで授業に参加することになっていました(長かった…)。
技能の授業では自動車を実際に運転するわけですが、教習所内を運転するぶんにはさほど問題なかった気がします。
乗車時間が短いので、隣に座っている教官の視線に苦痛を感じることは少なかったです。
覚えるべき運転技術がたくさんあり、そっちに意識が向いていたのも良かったのかもしれません。
仮免許の試験も問題なく、とくに苦労をした記憶がないです。
ただ仮免許を取得して一般の道路で運転することになると、対人恐怖症的に難易度が上がったように思います。
乗車時間が長くなり、教官つまり他人としばらく密室で同居しなければなりませんので。
脇見恐怖症のせいで教官の視線をどうしても気にしてしまい、運転に集中できなくなりました。
教官によってはわたしのチラ見に気がついて咳払いや貧乏ゆすりをしていたので、そのたびにヘコんでいたものです…。
しかも合宿最後のころは、ほかの教習生が同車しているなか高速道路を運転しなければなりません。
隣には教官、うしろには複数人の教習生といった構成で、常に誰かに見られている気がしてしんどかったです。
ただわたしはAT限定のコースでほかの教習生はみんな女性だったおかげか、車内は和気あいあいとしていてホッとしました。
(AT限定コースの参加者で男性はわたしだけというのは恥ずかしかったんですが。)
いっぽう学科の授業は、大学の授業と同じような感じでした。
席は決まっておらず、教官が教壇に立って講義をする形式です。
わたしはいつも一番うしろの席。
ほとんどの教習生は前のほうに座っていたので、わたしだけ浮いたような存在になっていると感じました(汗)。
しかし実際には目立ってなんかいなくて、わたしのことをネタにしていた人はいません。
例のヤンキー男もとくに何もしてこなかったです。
合宿免許参加者以外の通学教習生もいますし、普通の学校とは違っていろんな年代の人が教室にいますので、いじめとかは起こりにくいでしょう。
視線恐怖症でつらい思いをすることもなく、なかなか快適に授業を受けられました。
咳や咳払いはたまに聞こえてきていちいちビクついていましたが、これはどうしようもありませんからね。
大学では何度も授業を休んでしまいましたが、合宿免許では一度も休みませんでした。
この快挙には自分でもビックリです。
自動車運転免許を取得する、という目的がハッキリしていたからかもしれません。
授業以外の合宿生活のほうは、あいかわらず微妙でした。
唯一できた友だちとは会話があまり盛り上がらず、お互い孤独だからなんとなく一緒に行動していただけという感じです。
対人恐怖症なのでほかに友だちを作る気力はなく、授業のとき以外は基本的に部屋で引きこもっていました。
逆にほかの合宿教習生たちは日が経つにつれどんどん仲良くなっているようで、さらに孤独感・ぼっち感が強まった気がします。
「目的はあくまで免許取得なんだから気にしない!」と何度、自分に言い聞かせたことか(笑)。
卒業検定の話
技能と学科の授業がひととおり終わると、いよいよ卒業検定です。
卒業検定は技能のほうだけチェックされます(後述しますが、学科の最終試験は運転免許センターで受けます)。
卒業技能検定の合格率は8割くらいといわれていますが、わたしは一発合格ができませんでした…。
男で、しかもAT限定にも関わらず合格できなかったのがすごく情けなかったです。
やはり視線恐怖症もちの人間には車の運転が無理なのかなと思わされました。
しかもAT限定コースのほかの女性たちはみんな合格しているなか、落ちたのはわたしひとりだけ。
これはとても恥ずかしい(汗)。
合格発表は教習所の待合室で行われたため、誰が落ちたかだいたいわかってしまうんです。
例のヤンキーがわたしを見てあざけわらっているように感じました。
あまりの恥ずかしさにトイレに逃げ込んでしまいましたよ…。
精神的につらくなるとトイレにこもる、昔からの悪い癖です。
待合室から合宿教習生たちの姿がいなくなるのを見はからって、ひとりまた宿泊施設へ戻りました。
翌日、不合格者の補習を受けたところ、やはり落ちた原因は注意力不足。
運転中に脇見恐怖症の症状が出てしまい、どうしても教官のほうに意識が向かってしまうことがあったわけです。
補習中も注意散漫すぎて何度も怒られました…というか本当に事故りそうになったときがありましたし(滝汗)。
それでもなんとか補習を終え2回目の卒業検定で合格できたんですが、正直なところ甘い審査だった気がします。
なぜあれで受かったのか今でも不思議です。
わたしが通っていた教習所は卒検合格のしやすさで有名な所だからかもしれません。
そのウワサが本当だとすると、一発合格できなかったのが余計にショックなわけですが(苦笑)。
ちなみに教習所を卒業し合宿免許を終えたあとは、運転免許センターで学科試験を受験します。
こちらは一発合格できましたが、対人恐怖症的には集団でテストを受けるのは苦痛です。
「免許取得まであと一歩!」と自分を励まし続けながら乗り切りました。
こうして合宿免許を通じてなんとか自動車運転免許の取得に至っています。
授業はもちろん合宿生活のほうも基本的にはつらかったですね(汗)。
ただ合宿を実際に体験してみて、対人恐怖症なら通学教習よりも合宿免許のほうが良いように思います。
嫌でも毎日、教習に参加することになります(参加し続けないと卒業できない、合宿を終えられない)ので、症状を言い訳に逃げられません。
通学教習だと自由に休めてしまい、結局いつになっても免許が取れない恐れがありますからね。
また料金も合宿免許のほうが通学教習より安いですし、短期間で免許が手に入るのもメリットでしょう。
合宿免許の比較サイト(『免許合宿ライブ 』など)で、自宅近くの教習所を探してみてください。
もし学生でないなら、人が少ない時期(5月・6月・10月・11月)に参加するのがおすすめです。