小学生のころにも、いじめを受けた経験があります。
幼稚園時代のいじめられ体験とは違って、記憶はとても鮮明です。

いじめに遭ったのは、小学校6年生のときでした。
5年生のころまでは平和だったんですが、最終学年になっていじめられてしまったんです。
多感な思春期に入る手前の時期ということで、感情の矛先がわたしに向けられてしまったのかもしれません。
しかも2回もあったんですよ(汗)。

黒板に「死ね」と書かれる

黒板

まず1回目のいじめは、かなりストレートなものでした。
黒板に「◯◯死ね」と書かれたのです(◯◯はわたしの苗字)。
ショッキングな体験でしたよ…。

放課後の委員会活動を終えて教室に戻ると、黒板にはデカデカと「◯◯死ね」の文字。
一瞬にして、胸が苦しくなりました。
幼稚園生のころに味わった、あのキューっと締め付けられる感覚がよみがえったわけです。

しかし小学生のころのわたしはオドオドした性格ではあまりなかったので、動揺はしていたもののすぐに犯人探しを始めました。
教室に残っていた数人のクラスメートに「誰が書いたんだよ?!」と怒りながら問い詰めます。
するとそのなかのひとりの☓☓君が「△△が書いた」と言いました。
わたしは「ありがとう」といい、帰宅途中の△△を全力で追いかけます。
涙をにじませながら通学路を駆け抜けました。
「死ね」と書かれたことの悲しさと「なぜそんなことを俺にするんだ」という怒りが交じり合って、わけのわからない精神状態です。

しばらく走ってやっとのこと、△△を発見しました。
「お前がやったんだな!」と彼に胸ぐらをつかみながら聞くと、なんとこう言ってきたんです。
「☓☓に命令されてやったんだよ…。ごめん…。」

激しく動揺しました。
「死ね」の文字をみたときよりもずっと心が揺さぶられました。
怒りはおさまってしまい、脱力感が全身をおおいます。
☓☓君とは仲が良いと思っていたので、ショックだったんでしょう。
裏切られた気分に近いものがあります。
「死ね」と書くよう命令するほどわたしに敵意があったこと、そして嘘をついてきたこと。
彼への信頼が一気になくなりました。

なぜ「死ね」と書かれたのか、☓☓本人に聞いていないので今も理由はわかりません。
あのときは残念な気持ちでいっぱいで聞く気になれなかったですし、動機を聞くのがこわかったんだと思います。
人に命令して、嘘をついてまで俺に死ねと書きたかったのはなぜ?
考えれば考えるほどこわくなり、人間の気味の悪さを感じました。

集団での無視に遭う

2回目のいじめられ体験は、集団無視です。
典型的ですね。

これも理由はよくわからないんですが、仲良くしていた男子グループから急に無視されるようになりました。
登校中・下校中や休み時間に話しかけても、少しも対応してくれないんです。
わたしが存在していないかのように、ほかの男子どうしで話をしてばかり…。
遊びの誘いもまったく来なくなりました。

こうした状況がつらくて、下校中はよくトイレにこもっていたものです。
そして彼らが帰るのを待ってから帰宅…。
通学路の途中で会わないよう、ゆっくり歩きながら…。

登校中も、不幸なことにそのグループの中心人物と同じ班だったので距離をとって歩いていました。
学校へ行くのがとても苦痛だったのを覚えています。

幸いにもほかのグループで仲良くしてくれる男子が数人いたんですが、同じ教室のなかにそのグループがいるというだけで良い気分ではありません。
休み時間中などではヒソヒソと話しながらわたしを見ていたりしてましたし…。
人に悪口を言われる、人に見られているといった被害妄想はこのころから芽生えていったのだと思います。

集団無視は卒業するまで続いていきました。
そのころはすでに別のグループと仲良くしていましたが、クラスメートみんなで仲良く卒業がしたかったです。

中学生になってもそのグループのほとんどの男子と同じ学校に通うことになり、廊下とすれ違ったりするのがまぁ気まずい…。
しかし相手はもう忘れているみたいでしたけどね。
いじめってやっぱり被害者側がよく覚えているものです。

こうしたいじめで、人に対する不信感や被害妄想をうっすらと抱き始めた気がします。
自覚はありませんでしたが、潜在意識のなかでは目覚めていたんでしょう。

表では愛想が良くても裏では何を考えているかわからない…。
わたしのことを悪く思っているんじゃないだろうか。嫌われているんじゃないだろうか…。
こんなふうに内向きに考える癖が少しずつ強くなっていきました。

余談ですが、このふたつのいじめの原因には少し心当たりがあります。
6年生のとき大けがをして入院し、修学旅行に行けなかったんです。
そのときクラスメート全員がお見舞いに来てくれたり、わたしがいないあいだ担任の先生がホームルームの時間にわたしのことをよく話してくれていました。
その結果、クラスの人気者になったんですよ。
退院時には、スターといったら言い過ぎかもですが、そんな扱いを受けました。
おそらく、いじめてきた彼らはそうした状況が気に入らなかったんじゃないかと思います。
☓☓君もそのグループも、それまでクラスの中心的存在でしたから。
嫉妬が原因のいじめってことでしょうかね。

こう考えると、小学生はまだ子どもだし仕方ない出来事だったのかなとも今は考えています。
いじめ方としてはひどいことに変わりはないですが。
この点が、いじめのこわさですよね。
動機はささいなものであっても、いじめられた側には深い傷が残りやすいのです。