対人恐怖症がつらくて学校・大学を辞めたくて仕方なくても、親に「中退したい」と説得するのは勇気がいるし難しく感じることでしょう。
わたしも大学受験失敗時に同様のことがあり、やはり説得に失敗しました。

ただ、あのときは説得の方法が悪かったように思います。
以下のようなやり方であれば、親をうまく説得できていたかもしれません。

1. 対人恐怖症のつらさを打ち明ける

親と子

はじめに、対人恐怖症がどれだけつらいものなのか具体的に打ち明けることです。
「学校(大学)に行きたくないから辞めたい」といった言葉のみでは説得するどころか、親を怒らせてもしまう恐れがあります。

子どもが対人恐怖症と知ったら親は悲しむかもしれない…などと考えるのは無意味です。
それよりも子どもに隠し事をされているほうが親はもっと悲しみます。

親が対人恐怖症についてくわしいなら話は早いですが、症状についてよく知らない場合は可能な限り丁寧に説明をしてあげましょう。
いまはネットでも対人恐怖症についての解説がいろいろと見つかりますので、それらを参考にして説明するのも手です(当ブログでも対人恐怖症についての解説を書いています)。

対人恐怖症がどんな病気か親に知ってもらったあとは、自分がその症状にどのように苦しめられているのか訴えましょう。
子どもが苦しんでいる様子を想像すれば、親はなんとかしたくなるものです。

ただし、たとえ相手がいまいち理解してくれなくても感情的になるのは避けたほうが良いと思います。
冷静さを失えば余計に説明がうまくいきませんし、親のほうも感情的になれば口論が起きてしまうはずです。

2. 親の意見に理解を示す

対人恐怖症を打ち明けても親に反対される場合は少なくありません。
わたしは学校中退を願い出たわけではないですが、受験失敗時に対人恐怖症を理由に浪人を拒否したところ親に猛反対されました。
そのときわたしは自分の意見を主張していてばかりだったと記憶しています。

相手に自分の要求を受け入れてほしいなら、こちらも相手の意見に耳を傾けることが大切です。
「学校を辞めたい」とばかり訴えていては、単なるわがままに思われてしまうでしょう。

親が反対するのは、やはり学校卒業が子どもの将来のためになると考えているからですね。
いまだに日本は学歴社会ですので、親がそう思い込んでいるのは普通のことだと思います。

対人恐怖症の苦しみを本当には理解してくれていないからといって感情的にならず、親は自分のために反対してくれていると気づいてください。
残念なことですが、健常者にとって対人恐怖症のつらさはうまく想像できないものなのです。
子どもの将来のほうがイメージしやすいため、どうしてもそちらのほうを心配するのは仕方ありません。

親の言い分を最後までしっかり聞き、「たしかに卒業が大切なことなのはわかる」などと理解を示しましょう。
すると親のほうにも気持ちに余裕が生まれ、子どもの意見を聞く態勢になります。

くれぐれも親が話している途中で反論をしてはいけません。
口論のもとですよ(経験者は語る)。

3. 将来の進路を宣言する

前述のとおり、親は子どもの今後について心配しています。
学校中退を説得するには、将来の進路について明確なビジョンを宣言し、親をできるだけ安心させたいところです。

学校を辞めてからどう生きるのか考えておきましょう。
別の学校に転校するのか、通信制の学校に通うのか、フリースクールに通うのか、それとも就職をするのか。
選択肢はいろいろとあります。
以下の記事も参考にしてみてください。

何もせず自宅に引きこもっていたいという理由では、おそらく親は納得しません。
少なくとも将来の就職に向けてプログラミング資格取得の勉強をする気持ちでいないと、親は安心しないでしょう。

今後の人生の指針が決まったら、堂々と親に宣言することです。
相手の目を見て、真剣に「中退しても自分は将来こういう生き方をしていくから大丈夫です。自分を信じてください」と熱意を持って訴えます。
子どもの好きなことをやらせてあげたいと思うのもまた親ですから、意外とあっさりOKをもらえるかもしれません。

4. 第三者に協力してもらう

親のなかには子どもの意見は何でも頭ごなしに否定するような人もいるでしょう。
そうした相手に中退を説得するには、第三者の協力が必要です。

まず学校の先生、スクールカウンセラーなどに事情を相談して協力をお願いするという方法があります。
家まで来てもらうのが難しいようなら、親あての手紙などを書いてもらうだけでも効果的です。

または、心療内科や精神科を受診し医師に診断書を書いてもらうのもおすすめです。
わたしは学生時代ではありませんが社会人のころに医師から自律神経失調症と診断され、そのときから親が少しずつ対人恐怖症について理解を深めていきました。

ただ、ひとり暮らしの学生でない限りは心療内科へ行くこと自体が反対される場合もあるでしょう。
勝手に受診して親に怒られるのがこわいという方もいるかと思います。
そうした際は、地元の公的機関が心強い味方になってくれるはずです。
利用に年齢制限はありませんので、気軽に訪れてみてください。

いずれにせよ、第三者の見解を加えると簡単に親の意見が変わるケースも少なくありません。
自分ひとりでの説得に限界を感じたら、そこで悩みを抱え込まず周囲に相談しましょう。

親のタイプも十人十色であるため、100パーセント確実な説得方法というのはないと思います。
しかし何か行動を起こせば、多少なりとも状況が変わっていくはずです。

学校を辞めたくてもただただ我慢し続けるのだけは避けてください。
ストレスが過大になり、現在よりもさらに精神のバランスが崩れてしまいかねません。