昔(2000年代)の話ですが、わたしは視線恐怖症でありながら大学受験をなんとか乗り切りました。
現役時は志望校に全落ちしたものの、1年浪人して以下の大学(学部・学科)に合格しています。
- 慶應義塾大学商学部 (英・数・地歴の3科目入試)
- 中央大学法学部法律学科 (英・国・地歴の3科目入試)
- 中央大学法学部政治学科 (英・国・地歴の3科目入試)
脇見恐怖症、他者視線恐怖症などに苦しみつつ複数の大学に合格できたのは、以下の6つの方法を実践したからだと考えています。
同じ症状を持つ(文系の)受験生・現役高校生の参考になるかもしれません。
ただ、いまのわたしの意見としては無理に進学しないほうが良い気がします。
どうしても大学受験をしなければいけないという方だけ、以下を読んでみてください。
1. 縁の太いメガネを掛ける
もっとも効果のあった方法が、 縁(ふち)の太いメガネを掛けたことです。
縁が太ければ脇の視界がある程度さえぎられ、脇見恐怖症の症状が出にくくなりますからね。
(「自己流の視線恐怖症対策まとめ(症状緩和に効果があるもの)」という記事でも、この方法について紹介しています。)
当時わたしは受験失敗の最大の原因が高2で発症した脇見恐怖症だと思っていたため、浪人が決まってすぐ太縁メガネを買いました。
おかげで再び勉強に集中できるようになったと記憶しています。
脇見恐怖症のことばかり考えずに、授業の内容や目の前の試験問題に意識をそそげるようになれたわけです。
割合的には、目の前のこと:隣の人 = 7:3くらいでしょうか。
学校に通ったりテストに参加することが、現役時とくらべてこわくなくなりました。
2. 暗記力で勝負する
とはいえ、わたしの場合、太縁メガネをかけて視線恐怖症が治ったわけではありません。
症状が軽くなったにせよ脇見恐怖症は続いていましたし、このころから他者視線恐怖症も本格的に発症しています。
こうした状態で、思考力を必要とする問題を解くのはなかなか難しいです。
隣や周囲の席の人を少しでも気にしてしまえば、思考の糸がプツンと途切れてしまいますからね。
そこでわたしは大学受験を乗り切るべく、暗記力勝負の方針へシフトしていきました。
暗記で解ける問題なら、その場で考える必要がなく機械的に処理できます。
集中が切れても、自分の記憶の中から条件反射的に正解を取り出すだけなので簡単です。
思考力を要する問題ではこうはいきません。
暗記力で勝負できる科目は、日本史、世界史、英語などです。
時代の流れ・重要語句や英単語・構文を暗記しておけば、だいたいの問題は解けると思います。
事実、わたしは日本史の偏差値を82ほどまで、英語は76くらいまで伸ばせました。
3. 「質より量」で勉強する
暗記力を鍛えるためには、「質より量」の勉強が大切です。
良質な問題をじっくり解くのではなく、たくさんの問題を幅広く解きます。
わたしはマイナーな語句や単語もすべて覚えるつもりで勉強していましたし、すでに覚えた事項の定期的な復習も欠かしませんでした。
入試本番で集中が途切れてもすぐに正解が取り出せるよう、記憶のデータベースを増強していったわけです。
当然、暗記量を増やすには勉強時間もかなり必要になります。
浪人時代は1日あたり12時間ほど勉強していました。
暗記系科目は時間を費やすほど学力が伸びていくので楽しかったです。
なお、いくら量をこなすとはいえ、多数の参考書・問題集に手を出すのはおすすめしません。
1冊1冊を全部暗記するつもりで、繰り返し学習するのが効果的です。
4. 受験校は多すぎず少なすぎず
受験する大学の数が多すぎると、なにより精神的にも肉体的にもストレスがたまりますし学校別の過去問対策もおろそかになります。
逆に少なすぎると、やはり全落ちのリスクが高まるでしょう。
必ず受かる大学をひとつは受けておくと安心です。
何年も浪人を繰り返していると、そのストレスが原因で脇見恐怖症などをさらに悪化させかねません。
わたしは志望校・併願校あわせて6校、受けました。
受験スケジュールは2月上旬に2校、中旬に2校、下旬に2校といった感じで丁度よいペース配分だと思います。
試験会場や移動中の電車内で脇見恐怖症や他者視線恐怖症に苦しみながらも、受験シーズンを乗り切れました。
5. 授業・テストを休まない
視線恐怖症で悩んでいると、人を避けて行動したくなりますね。
しかし、そのような心理状態では入試本番で勉強の成果を発揮できないでしょう。
本番は大勢の他人に囲まれて受験するからです。
他人と一緒の空間での勉強を避けてはいけません。
家での自習はともかく、普段の学校の授業や模試などのテストは休まず出席すべきです。
わたしは浪人時代に予備校の授業を何回か休んだことがありますが、次回の出席がとてもつらく感じました。
恐怖は逃げるほど追ってくるものです。
入試当日でドタキャンしないためにも、普段の授業・テストは休まないほうが吉です(「その場から逃げようとしない」ことが大切)。
6. 受験仲間を作る
大学受験をともに戦う仲間の存在は、やはり大きな力になります。
ひとりでも受験仲間を作っておくと心強いです。
わたしは浪人生のころ寮生活だったため、寝食を共にする多くの仲間が出来ました。
おかげで脇見恐怖症などでつらくても受験勉強を続けられたように思います。
現役高校生のころのように自分の殻に閉じこもることが少なくなったのです。
孤独感が強まると、「自分の人生どうでもいいや」と自暴自棄になったりします。
同じ志を持つ仲間に囲まれると、「自分もやってやろう」という意気込みが湧きます。
人に左右されがちな視線恐怖症者の特徴を活かした方法といえるかもしれません。
現役で大学入試に失敗した直後は「まず視線恐怖症を治さなければ、浪人しても合格できない」と思っていました。
しかし縁の太いメガネを掛けてから脇見恐怖症が少しやわらぎ、受験仲間にも支えられたことで大学受験のモチベーションを取り戻していった気がします。
暗記力勝負で「質より量」の勉強に転換したのは、受験を乗り切るために止むを得なかった方法です。
それが仇となり第一志望の一橋大学には不合格となりました。
そのあたりについては「大学入試で志望大に二度も落ちた原因を振り返りつつ受験生にアドバイスしてみる」という記事でくわしく書いています。