視線恐怖症や脇見恐怖症などの対人恐怖症になると、「症状のせいで嫌われた」と感じるときがありますね。
悪口・陰口を叩かれたり、咳払いをされたり、貧乏ゆすり、舌打ちや痰吐き(つば吐き)をされたり…などなど。
そんなときは「嫌われても良いや」と開き直ったほうが精神的に楽です。
とはいえ嫌われたままでは居場所がなくなる(孤立化する)場合もあるかもしれませんので、そうした場合の方法についても考えてみました。
1. 「嫌われても良い」と考える
たとえば「視線恐怖症(脇見恐怖症)のせいで人に嫌われた」と思ったら、まず「嫌われても良い。仕方ない」と開き直ってみましょう。
相手を見すぎてしまった、脇見してしまったという罪悪感や自己嫌悪感を感じにくくなり、気持ちが楽になるはずです。
「人に嫌われることがイヤ」と思っていませんか。
わたしも含め、視線恐怖症などの対人恐怖症で悩む方は八方美人タイプのような気がします。
だから人の反応を気にしすぎて、症状をどんどん悪化させてしまうんですよね。
わたし自身オッサンになるにつれようやく気づきましたが、誰からも好かれる人ってまずいません。
世の中にいろんな人がいる以上、 合う人、合わない人というのは誰にも必ず存在するわけです。
性格、見た目、雰囲気、人間関係などを理由に嫌われることは必ずあります。
ならば普段から「嫌われても良い」くらいに開き直ったほうが精神的に楽ですよ。
「嫌われることがあるのは別にいいんだ。対人恐怖症で人に嫌われるのがイヤなんだ」と思っている人も多いでしょう。
わたしも以前はこういう考え方でした。
なぜ視線(目線)が変になっただけで嫌われたり、脇見をしただけで避けられてしまうのか…と。
しかし前述のとおり世間には多種多様な人がいるため、視線恐怖症をはじめとした対人恐怖症で嫌われるのもあり得る話なのです。
こちらの視線や脇見に気づきにくい人がいるいっぽうで、敏感に気づいて明らかに嫌悪感を示す人もいます(陰口や咳払いなどをしてくる人など)。
こうした違いは人それぞれの個性の問題であり、どうしようもありません。
対人恐怖症者の存在に敏感な人たちが身近にいて嫌ってきたら、「こういう人もいる。仕方ない」と割り切りましょう。
そして、対人恐怖症や視線恐怖症になっても態度を変えず接してくれる人を大切にしてください。
対人恐怖症の自分を受け入れてくれる人がいるからこそ、自分を嫌ってくる人に対し「嫌われても良い」「こういう人もいる」と割り切れます。
嫌われたことについては考えないようにして、変わらず自分を好きでいてくれる人がいることに目を向けましょう。
2. 悩みを打ち明ける
とはいえ「嫌われる」と感じた相手が親友や仲の良い知人の場合は、単純に「嫌われても良い」と割り切れないかもしれません。
その際は、相手に対人恐怖症の悩みを打ち明けるのもひとつの方法です。
視線恐怖症の症状や、そのつらさを説明することで相手(またはお互い)の誤解が解けるでしょう。
親密な間柄の人なら対人恐怖症そのものは理解できなくても、その症状でつらい気持ちにはきっと理解を示してくれます。
もともと仲が良いわけですから、打ち明けたことをきっかけに親友・知人から(さらに)嫌われることはないはずです。
わたしも以前、親友の何人かに視線恐怖症の悩みを打ち明けたことがありましたが、以降も変わらず接してくれました。
もし打ち明けた相手の態度が悪くなるようであれば、そのような人と無理に付き合う必要はありません。
「嫌われても良い」と考え直したほうが賢明です。
そのときそのときの心理状態・成長段階におうじて、自分に合う人のタイプは違ってきたりもします。
「親友」という固定概念にしばられすぎて、いつまでも「嫌われたくない」と悩むのは止めましょう。
3. 第三者に相談をする
学校や会社といった集団生活の場なら、いっそう単純に割り切れない場合があるかと思います。
脇見などに嫌悪感を抱く人がどんどん増えてきた結果、悪口や陰口を言われるようになったり咳払いや舌打ちなどをされることも増え、いじめられるようになり孤立化していく…といったケースです。
こういった事態への対処方法としては、まず第三者に相談をしたほうが良いでしょう。
学校ならほかのクラスメートや先生、会社なら同僚や上司が最適な気がします。
現場で味方を作るわけですね。
対人恐怖症(または視線恐怖症・脇見恐怖症)の症状や悩みをくわしく告白し、助けを求めてください。
誰かはあなたの理解者になってくれるはずです。
味方がたったひとりいるだけでも、ずいぶんと生活がしやすくなります(前述のとおり「嫌ってくる人たちがいても良い」と割り切れます) 。
いじめてくる相手との仲を取り持ってもらうよう頼むのも効果的な方法かもしれません。
対人恐怖症がマイナーな病気だからといって、決してひとりで抱え込まないでください。
わたしの経験上、ひとりで居続けると精神状態はさらに悪化してしまいます。
孤独に生きられる精神的なタフさがあるなら別ですが、孤立化はできるだけ早く避けるべきです。
やはり症状についてはわかってもらないかもしれませんが、学校生活・会社生活のつらさをわかってくれる人はいます。
いま悪口を言われていること、いじめられていることについての苦しみを伝えましょう。
4. 相手とコミュニケーションをとる
症状のせいで不快感を与えている相手とあえて話したりするのも有効な方法だと思います。
コミュニケーションをとっていくにつれ、相手のこちら側に対する嫌悪感が薄れていくからです。
わたしが脇見恐怖症で一度もいじめられなかったのは、たぶんこの方法のおかげだと考えています。
高校生のころから脇見恐怖症でしたが、クラスメートや同僚に悪口を面と向かって言われたり、いじめられたことは一回もありません。
普段からいろんな人と話すタイプだったので、まわりに敵を作らずに済んだのだと思います。
陰口を叩かれたり咳払いをわざとっぽくされたことは何回かあったものの、それをきっかけにいじめられはしませんでした。
わたしに陰口や咳払いをしていたのは高校生時代は隣の席の女子、予備校生時代は男子生徒グループ、大学生時代はバイト先の同僚女性ふたり組くらいですが、彼ら彼女らに嫌がらせをされた記憶はありません。
表向きはその人たちとわたしがミュニケーションをとれていたからでしょう(あいさつや簡単な世間話など)。
こちらが普通に接しようとしている限りは、相手は(遠慮して?)嫌悪感を向けてこないんだなと感じたものです。
対人恐怖症になると、そのターゲットとなってしまっている相手(脇見恐怖症なら脇見してしまう相手)を避けたくなるものですが、むしろ距離をつめてみると良い気がします。
会話をしたり、あいさつを交わしたり、物の貸し借りなんかでも良いです。
相手がこちらに不快感を持っていたとしても、あからさまに悪口を言ってきたりいじめてくるほどの嫌悪感は抱かなくなるでしょう。
相手が複数の場合は、まずはそのグループのなかでもとっつきやすそうな人にコミュニケーションをとってみてください。
勇気のいることですので、できれば前述のように第三者の力を借りたほうが良いですね。
話してみて嫌悪感を薄めてもらえれば、その人がグループ内の誤解を解いてくれるかもしれませんし、少なくともその人は敵意を向けてこなくなるはずです。
こうして順々にグループのほかの人とも話していくうちに、悪口や咳払いなどの嫌がらせ、いじめといったものが自然消滅するかもしれません。