学校、職場、電車、バス、歩道や店内などで、自分は何の興味もないのにチラチラこちらを見てくる(意識してくる)人っていますね。
「見てきてうざい」とつい不快になったりするでしょうが、その人はわたしのように視線恐怖症で苦しんでいる患者かもしれません。
周囲を異常に意識する病気「視線恐怖症」
現代日本人の10人に1人が悩んでいるともいわれる、心の病気。
うつ病などが有名ですが、「視線恐怖症」もそうした心の病気のひとつです。
視線恐怖症の患者は、周囲の人を異常なほど意識してしまいます。
学校・職場の隣の席の人、電車内で向かい合った前の席の人、バス車内の後ろの席の人、歩道で前方から歩いてくる人、店内で周囲にいる人などなど、自分の前後左右の人を気にしすぎてしまうのです。
意識する対象は同級生・同僚だけでなく、他人はもちろん家族・恋人にすらおよびます。
「見てくる人」というのは、もしかするとこうした視線恐怖症患者なのかもしれません。
「うざい」と感じるその相手は、心の病気で苦しんでいる人かもしれないのです。
視線恐怖症の人は、見たくて見ているわけではありません。
むしろ見ないよう努力しています。
わたしも含め患者の方たちのほとんどが、周囲の人を不快にさせないよう気をつけているわけです。
それでも見てしまうのは、視線恐怖症という精神的病気にかかっているからでしょう。
過去のいじめられ経験などで人に不信感や警戒心を抱くようになった結果、まわりの人間を異常に意識する癖がついてしまったのです(わたしも幼稚園生、小学生、中学生のころにいじめられました)。
「見てきてうざい」という気持ちはわかります。
わたしだって他人にチラチラ見られたりジッと見られ続けたら不快になるか、気持ち悪いと感じるでしょう。
ただ、見てくる人のなかには「見たくて見てくるわけではない人」がいるのも確かです。
世の中には、心に傷を負った視線恐怖症患者が多かれ少なかれ存在しています。
「挙動不審でうざい」その人は対人恐怖症かも
ちなみに、視線恐怖症と同様の病気として「対人恐怖症」というものがあります(厳密には、視線恐怖症は対人恐怖症の症状のひとつといわれています)。
「挙動不審でうざい」「キョロキョロしていて目ざわり」と感じる相手は、もしかすると対人恐怖症の患者かもしれません。
対人恐怖症患者は、健常者なら緊張しないような日常生活でも挙動不審になってしまいます。
コンビニ、スーパーや飲食店など人が存在する場所では、ほぼ常に体の動きが不自然だったり(ぎこちなかったり) 、キョロキョロと目が泳いだりしてしまうのです。
視線恐怖症の場合と同じく、対人恐怖症で悩んでいる人も挙動不審になりたくてそうしているわけではありません。
やはり過去のトラウマなどで人がこわくなり、人前で過剰に緊張するようになってしまったからです。
挙動不審な対人恐怖症患者を見て自分まで気分が落ち着かなくなり不快になるという方はいるかと思います。
そのいっぽうで患者は、「不快にさせてごめんなさい」とショックを受けていたりするものです。
「見てきてうざい」「挙動不審でうざい」という感情を否定するつもりはありません。
わたしもそういうときがありますし、人間として自然な心の動きでしょう。
ただ、見てくる人・挙動不審な人のなかには視線恐怖症・対人恐怖症で苦しんでいる人が一定数います。
この事実を頭の片隅に置いてもらえるとうれしいです。