男性の前だと見られている気がしてしまう。
女性と話すとき目を合わせられない。
隣にいる男性(女性)のことが、好きでもないのに気になる。
……こんなふうに異性の目を気にするのは思春期によくあることで、視線恐怖症や脇見恐怖症の症状ではありません。
病気だと思い込むのは危険ですよ。
異性の目が気になるのは普通のこと
あなたが思春期の中学生や高校生なのであれば、異性の視線が気になるのはごくごく普通のことでしょう。
大学生くらい(社会人になる前)までは異性の目を気にして当然だと思います。
人の成長過程として自然なことであり、病気なんかではありません。
わたしもとくに中学2年生から高校2年生くらいまで女子生徒の目を過剰に意識していましたが、そのことについて深く悩んだりはしませんでした。
ほかの男子生徒のなかでも似たように女性を気にしすぎている人がいましたので、「自分だけがおかしいわけじゃない」と無意識にわかっていたのでしょう。
周囲の人をみてみると、同じような悩みをもつ仲間がいることがわかり安心しますよ。
視線恐怖症は文字どおり視線に対して異常に恐怖心を抱く病気、脇見恐怖症は隣の人をみてしまうのを異常に恐れる病気です。
「気になる」「気にする」といった程度の軽いものではないわけです。
悩みに対して「視線恐怖症」「脇見恐怖症」とラベル付けをすれば一時的には気が楽になるかもしれませんが、 簡単に病気と決めつけないほうが身のためだと思います。
というのもわたし自身、視線恐怖症にとらわれすぎてしまったことで病状が悪化してしまったからです。
「こんなに人の目を気にするなんて自分は病気なんじゃないだろうか」と考えれば考えるほど、泥沼にはまっていきました。
もし視線恐怖症になった初期段階で病気にとらわれずにいたら、ここまで悪化しなかった(対人恐怖症にまでならなかった)のではという気がしています。
視線恐怖症当事者のわたしですらこのように反省しているわけですので、「異性の目が気になる」くらいのことで自分を病気と思い込まないほうが賢明です。
「こんなに異性の目を気にするのは病気なのかもしれない」などとは考えないほうが良いですよ。
視線恐怖症をはじめとする神経症は、気にすれば気にするほど症状が悪化します。
そのうち異性の視線だけでなく、同姓の視線、違う年代の人の視線や他人の視線まで気にするようになるんです。
こうした「泥沼」にはまらないよう、異性の目が気になってもそれは普通のこと、みんな誰もが経験していることと考え、やり過ごしましょう。
異性限定で人の目がこわいと感じるなら話は別
男性を前にして「見られている気がしてこわい」となったり、女性と話すとき「目を合わせられなくてつらい」となったりするなら少し話は別です。
男性恐怖症や女性恐怖症といった異性恐怖症が発症している恐れがあります。
恐怖心があるかどうかが判断のポイントです。
ただ、そういう状態でも同姓に対しては何の問題もないのなら視線恐怖症・脇見恐怖症とまではいえないでしょう。
これらは性別を問わず人の視線に関してこわがる病気だからですね。
男性限定または女性限定で人の目をこわいと感じるのであれば、まずは異性恐怖症かどうか確認することをおすすめします。
前述のとおり、自分を視線恐怖症または脇見恐怖症と決めつけてしまうと余計に事態が悪化するかもしれません。
また異性恐怖症と視線恐怖症などとでは、治療法に違いがあります。
本当は前者なのに後者向けの治療法を実践していたら、目の前の悩みはなかなか解消されないでしょう。
この意味でも、最初から視線恐怖症と思い込まないことが大切です。
異性の目が気になるという悩みは、思春期の男性や女性なら結構な割合の人が経験します(だから若い人ほどファッションや髪型に気をつかいます)。
人として自然なことで、視線恐怖症や脇見恐怖症が発症しているわけではありません。
異性恐怖症にかかっている場合も、視線恐怖症と思わずにまずは症状に合った治療法を選択しましょう。