わたし(男性です)は結婚する際、いろいろと訳あって妻の姓(名字)を名乗ることに決めました
ただ、妻の両親と養子縁組はしておらず、婿養子にはなっていません。
いわゆる「女性婚」というやつです(法律用語としては「妻氏婚」と呼ぶそうです)。

妻と結婚してしばらく経ち、女性婚のメリットやデメリットをいろいろと実感しています。
後悔はしていませんが、夫のわたしにとってはデメリットのほうが多いです。

男からみた女性婚のメリット

男の立場からみた女性婚のメリットは、夫としての責任感が軽くなることだと思います。
ほかにメリットは見当たりません(あるなら知りたい…苦笑)。

女性婚

女性婚をすると、妻が筆頭者(戸籍の代表者)になります。
簡単にいえば、その家の主みたいなものです。

なので夫の責任感は自然と軽くなります。
日本の家庭でよくある「一家の大黒柱でなくてはならない」といったような覚悟がいらなくなるのです。

実際わたしの家では、家にまつわる物事はほとんど妻にやってもらっています。
冠婚葬祭、町内会の付き合い、役所の手続きなど面倒なことを妻に任せられるわけです。

また収入面でも、家計を支える責任感が軽くなります。
わたしたちは共働き夫婦ですが、妻より多く収入を得ようというプレッシャーがありません。
普通の共働き家庭(夫の姓を妻が名乗るケース)であれば、やはり男のほうが多く稼がなくてはという暗黙の了解があるのではないでしょうか。

ちなみに、わたしの家では世帯主も妻です。
そのためさらに夫の責任感が軽くなっている気がします。

とはいえ、もちろん責任がゼロになるわけではないですよ。
パートナーとしての責任を果たす必要はありますし、妻が困っていれば彼女の役割であっても手助けをしています。
この点をふまえると、純粋な「メリット」とはいえないですね(実際、普段の家事などの負担割合はわたしのほうが大きいです苦笑)。

男からみた女性婚のデメリット

いっぽうデメリットはそこそこ多いです(汗)。
わたしは長男なので、余計にそう感じるのかもしれません。

親戚関係が悪くなる

女性婚の場合、親戚の誰かに結婚を反対され、親戚関係が悪化する恐れがあります。
やはり夫が妻の性を名乗るのは、日本社会の一般常識ではないからでしょう。

わたしたちも、結婚を機に親戚関係が悪くなってしまいました。
わたしの父が女性婚に反対をしていたからです(長男が姓を変えるとなれば当然ですね) 。
そのため妻とわたしの両親は今まで一度も顔を会わせていません。

わたしと妻の両親との関係は悪いわけではないですが、お互い気まずくはあります(汗)。
また父の意向により、父方の親戚の誰にも結婚報告をできていません。
女性婚をしたことによって、なんともギクシャクした親戚関係になってしまったのです…。

氏名変更が面倒

男性に限ったことではありませんが、氏名変更の手続きがとても面倒です。
夫婦同姓制度の大きなデメリットだと思います。

年金・健康保険などの公的制度はもちろんのこと、銀行やクレジットカードの名義変更なども行わなければなりません(銀行やクレカについては旧姓が使える場合もありますが、住所変更などで本人確認書類が必要になると結局は氏名も変える必要が出てきます)。
わたしのような自営業者の場合は税金や仕事関係の氏名変更も必要になるので、作業量はかなり多かったです。

また、手続きそのものも住所変更などとくらべて手間がかかります。
必要書類が多く、何度も役所に行き住民票や戸籍謄本を取得するのは大変でした。

プライドに少し傷がつく

慣れ親しんだ名字を捨てて妻の姓に変えたことで、自分のプライドに少しだけ傷がついた気がしないでもありません。
納得して女性婚を選んだとはいえ、わたしも日本人男性だからでしょうか。

親に結婚を反対されたとき、旧姓への誇りを初めて抱きました。
姓を変更してしばらくのあいだは、その誇りを捨ててしまったような罪悪感が強かったものです。

書類などに新しい名字を書くときは、いまだに違和感があります。
自分の本当の名前はどちらなのか、アイデンティティーが少し損なわれてしまうような感覚です。

夫婦関係が不公平になるかも

女性婚のメリットの裏返しともいえます。
妻が家の主となれば、あらゆる決定権が妻のものになり、夫婦関係が不公平になってしまうかもしれません。

なにか相談ごとがあったとしても、最終的には妻の意見が優先される恐れがあります。
「わたしが筆頭者(世帯主)なんだから家のことには口を出さないで」などと言われたら終わりです(苦笑)。

そうならないよう、わたしは妻に意見があるときは面倒でもしっかり主張しています。
おかげで上の3つにくらべると、女性婚のデメリットとしてまだ実感の度合いは低いです。

男性側からみて女性婚は、メリットよりもデメリットが多いように思います。
とくに長男の場合は、妻の姓を名乗ることについて慎重に考えたほうが良いでしょう。

わたしは、自分が在宅の自営業者でなおかつ対人恐怖症という心の病気を抱えていることをふまえ、デメリットを覚悟してでも女性婚を選びました。
夫婦別姓が実現したら元の名字に戻すつもりです。