先日、弟の結婚式に出席してきました。
対人恐怖症のわたしにとって結婚式は人が多く精神的につらいので出席を辞退しようと思っていましたが、参加しておいて良かったといまは感じています。

そこで、家族や友人の結婚式に出席しようかどうか悩んでいる対人恐怖症もちの方にとって参考になればと、当日の状況を振り返ってみました。
とくに視線恐怖症咳・咳払い恐怖症の視点で書いています。

自宅から結婚式場へ

結婚式当日、離れて暮らしている両親が自宅に迎えに来て3人で結婚式場へ向かいました。
この時点でもう自己視線恐怖症他者視線恐怖症の症状が出まくりです。
ルームミラー越しの父の視線を避けるようにタブレットをいじるわたし(汗)。

でも最近は父の病気のお見舞いなどを何回かしていることもあって、昔ほど恐怖や距離感はなかったです。
不思議と結婚式出席そのものにも緊張感はなく、むしろ弟の晴れ姿をみたい気持ちのほうが強まっていました。
対人恐怖症だと普段でも外出時に緊張するので、結婚式だろうが関係ないのかもしれません(苦笑)。

さて式場のあるホテルに到着すると、ここからはもう他人だらけの世界です。
まずロビーにてホテルの支配人みたいな男性が登場し、あいさつ。
そして今回の結婚式担当者とおぼしき女性スタッフにもあいさつ。
そのタイミングで弟の結婚相手の母親と妹が通りがかり、いきなり初顔合わせ。

ホテルに入るやいなや、知らない人たちとのあいさつの連続であせりました。
が、両親と一緒だったので安心感があります。
両親だけしかいない空間(実家とか)だと居心地の悪さがあったりしますが、外の世界では心強く感じるものですね。

そのあと家族・親族の控室に到着し一息。
やはり個室はいいものです。
途中、母が衣装の着替えに行き父とふたりきりになり気まずい感じもしましたが、スマホをいじりつつやり過ごしました。
主役の弟もやってきて、ひさびさに男3人で話せたのは良かったです。

親戚たちとの再会

結婚式の桜湯

しかし、そんなリラックスタイムは1時間くらい…。
式に出席する親戚の方たちが続々と控室にやってきました(汗)。

いままで10年くらい葬式やほかの親戚の結婚式に出席してこなかったわたしにとって、ここが一番の難関です。
しかもそんなときに限って弟や父は衣装の着替えに行ってしまっていたので、なんとわたしひとりで親戚にあいさつをするという状況に(滝汗)。
予定よりも早く親戚たちが到着したため、こんなピンチになってしまいました…。

あいさつはできましたが、そのあとは身を守るかのようにスマホ(をしてるふり)。
いま思い出しましたが、新郎の兄として、備え付けの桜湯(めでたいときに飲むお湯)を出しておくべきでした。
親戚のほうもわたしの空気を察してか、またはわたしのこれまでの事情(有名大を卒業し公務員になるも心の病気で辞めた)を知ってか知らずか話しかけてきません。

しばらく気まずい空間だったわけですが、ようやく着替え終わった両親が帰ってきて場の空気がなごみ始めました。
やはり親は頼りになります。

わたしも親と一緒に何人かの親戚と話をし、予想外になかなか楽しい時間を過ごせた感じです。
親戚のおじさんたちはもう年齢的にはおじいさんなので、とても勉強になる話を聞かせてもらえました。
「結婚はいいもんだ。お前も早く結婚したらどうだ」という内容がほとんどでしたが、その話のふしぶしでいろいろな人生観が垣間みえ、自分の生き方を見つめ直すきっかけになった気がします。

親族紹介、記念撮影

さて今度は弟の結婚相手(新婦)の親族たちとの顔合わせ、いわゆる親族紹介です。
そこでの自己紹介が不安だったんですが、ほとんど緊張しませんでした。

自己紹介の内容は「兄の◯◯です。」だけで難しくなかったです。
笑顔はひきつっていたかもしれませんが、気にしないことにします(苦笑)。
あと後ろの席に座っていた親戚の誰かの咳や咳払いが聞こえてきましたが、不思議と普段ほど恐怖や嫌悪感がありませんでした。

結婚式というものが幸せな儀式であり、ピリピリしたムードではないからなのかもしれません。
おだやかに時間を過ごせた気がします。
前もって親戚たちと会話をしてある程度リラックスできていたおかげでもありますね。

そのあとの記念撮影では大勢の親戚がうしろや左右にいる状態で撮られるので他者視線恐怖症や脇見恐怖症的には勘弁してほしい感じなんですが、これも予想外にほとんど緊張せず。
わたしのなかで「弟の結婚式を成功させたい」という気持ちがあったからだと思います。
症状のことはどうしても考えてしまうけれど、それよりも「いい表情・姿勢で撮ってもらおう」という気持ちでいたから乗り切れたのかなぁと。

挙式

次は、いよいよチャペルでの挙式。
これも親族紹介のときと同様に、新郎である弟の家族(わたしたち)はいちばん前の椅子に座ります。
目の前には神父やシスター(賛美歌を歌う女性)たちがいて視線恐怖症もちにはつらい状況ですが、このときもなぜか視線があまり気になりませんでした。

やはり弟を祝いたい気持ちが強かったからだと思います。
真剣に挙式を見守りたかったんです!
賛美歌やオルガンの音楽などもステキで、すっかりわたしは世界に入りきっていました(笑)。

しかも感情が入ってしまった余り泣いてしまうという(苦笑)。
弟との思い出をふりかえると涙が自然と出てくるんですよ。
カメラマンが撮影していたり、神父さんが様子をみて微笑んでいるのも気にせず泣いてました。

普段もこのくらい周りを気にせずにいられたらいいんですが…。

披露宴

結婚式も大詰めとなり、あとは披露宴です。
円卓式のテーブル席のせいか、前方の席の人や別テーブルの席の人の視線が気になったりしましたが、「集中するのはそこじゃない」と自分に言い聞かせ乗り切りました。
お酒の力も大きかったと思います(笑)。

ただ、そういう気持ちでいても咳(咳払い)が至る所から聞こえてきてさすがに少し落ち込んだのも確かです。
自分の視界のうしろのほうのテーブルからは結構な頻度で聞こえてきましたし、式場のスタッフもわたしの近くを通り過ぎるときに咳き込んだりしてました…。
すべて自分のせいとするのは被害妄想でしょうが、家に帰ってから思い出して暗い気持ちになりましたね。

でも全体的には、お酒で酔っていたのもあって普段よりは周りを気にせず披露宴を楽しめました。
結婚相手のご家族との話もできましたし、同い年のいとことの会話で盛り上がったり、頑張って前のほうでケーキ入刀の写真撮影をしたりと充実感はあったように思います。

料理がおいしかったのも良かったです。
対人恐怖症もちの方が自分の家族の結婚式に参加しなければならないときは、いちばん良いコースの料理を出してもらうよう親に頼むと良いでしょう。
食べ物に注意が向くので少しは周りが気にならなくなるかもしれません。

お見送り

最後はお見送りです。
披露宴会場から出てくる出席者の方たちの見送りをします。
相手方はご両親だけが見送っていましたが、なぜかこちらはわたしも兄として参加することに…。

「ありがとうございました」とお辞儀をしながらあいさつするだけですが、出席者一人ひとりに応対しなければならず少々つらかったです。
だんだん並んでいる人たちの視線が気になってきて、何度も自分の意識を修正しながら乗り切りました。
わたしの場合、ゴールが見えてくると張り詰めていた緊張が解けてきて逆に症状が悪化したりするんですよ。

でも視線を気にしていたわりには、咳などの反応をされることはありませんでした。
結婚式の最後なので、なごやかな雰囲気だったからかもしれません。
それにみなさんの視線の先は新郎新婦ですからね(自意識過剰は本当に困る汗)。

出席者を見送ったあと、「頑張れよ!」と弟の肩を叩き会場を後にしました。
(嫁さんにも何か言えば良かったですね…。)

こんな感じで合計8時間くらい結婚式場にいましたが、あっという間に終わったなという感じです。
結婚式出席の経験がほとんどないため、いろんなことが新鮮で退屈しませんでした。

対人恐怖症・視線恐怖症的につらい場面もありましたが、それよりも弟を祝福できて良かったという気持ちが強くあります。
親戚たちとの交流も楽しく、わたしが勝手に思い悩んでいただけなのかもなぁと感じました。

そういえば結婚式前日の日に父は電話で「明日はざっくばらんにな」と言っていましたし、当日も「◯◯(わたしの名前)は真面目すぎるんだよな」とぼんやり言っていたのを思い出します。
自分からバリアを貼らないで人と接するのが、対人恐怖症改善のひとつの方法なのかもしれませんね。

症状は根強く残っていますが、だからといって人に警戒心をみせず和やかな雰囲気でコミュニケーションをとるのが大切なんでしょう。
まだまだできていませんが、少しヒントがみえた気がしないでもないです。

もし家族の結婚式への出席を辞退しようとしているなら、それは止めたほうがいいと思います。
病気のせいで悔いを残さぬよう、無理にでも出席してみたほうが良いですよ。