パリ旅行の6日目は、高熱で体調が悪いながらも美術館めぐりを中心に行動しました。
クリュニー、ルーヴル、オランジュリーといった美術館を訪れたあとは、コンコルド広場からシャンゼリゼ通りを抜けて凱旋門へ。
途中、パリ最古の木、カルーゼル凱旋門、チュイルリー庭園などの観光スポットにも少し立ち寄っています。
クリュニー美術館を見学
風邪の高熱がおさまらないわたしでしたが、めったにないであろうパリ旅行ということで無理をして美術館めぐりをスタート…。
妻に心配されながら、クリュニー美術館(国立中世美術館)の最寄り駅であるクリュニー・ラ・ソルボンヌ(Cluny La Sorbonne)に向かいました。
滞在先ホテル近くのダンフェール=ロシュロー(Denfert-Rochereau)駅からはRERのB線ですぐです。
…が、駅に着いてからはクリュニー美術館の場所がよくわからずサンジェルマン大通り(Boulevard Saint-Germain)を進むべきところをサン=ミッシェル通り(Boulevard Saint-Michel)を選んでしまいました。
この経路だとサン=ミッシェル通りからソメラール通りを通って美術館の正面入口に向かうことになり遠回りです。
しかもわたしたちはソメラール通り(Rue du Sommerard)の途中にある美術館出口から誤って入場(汗)。
正面から入場するには、サンジェルマン大通りからクリュニー通りに進みましょう…。
クリュニー美術館でのわたしの目当ては『貴婦人と一角獣』のタペストリー。
『機動戦士ガンダムUC』のアニメで登場したこのタペストリーがとても印象的だったからです。
館内の展示コーナーに入ると、さっそく一角獣(ユニコーン)に関するさまざまな物が展示されていました。
昔から西ヨーロッパにはユニコーンにまつわる伝説があったようで、それを描いた作品が大半となっています。
肝心の『貴婦人と一角獣』は、展示コーナーの奥にありました。
部屋の壁一面に6枚の大きなタペストリーが配置されており、独特の雰囲気を感じます。
中世の絵のタッチとタペストリーの質感は奇妙でありながらも美しかったです。
クリュニー美術館は「中世美術館」なのでほかにも中世の絵画や彫刻などがありました。
しかし妻が途中でまったく興味を失っていたため、それらはほとんど鑑賞できていません(旅行3日目で大げんかをしたのでもう怒らせたくないのです苦笑)。
美術館を出てサン=ミッシェル通りに戻ると、右手に遺跡のような建造物が見えました。
それはクリュニー美術館の敷地内にある「クリュニー浴場」であり、1世紀~2世紀ごろに作られたものだそうです。
「パリでいちばん〇〇」なスポット
次はルーヴル美術館方面へ徒歩で向かいつつ、「パリでいちばん古い木」のある公園へ。
サン=ミッシェル通りからサンジェルマン大通りを東に向かい、途中の五差路でダント通り(Rue Dante)を進むと左手にありました。
「スクエア・ルネ・ヴィヴァニ」(Square René Viviani)という小さな市立公園です。
パリ最古の木は、この公園の西側に立っています。
わたしたちが訪れた9月末ごろでは木が緑で生い茂っていて、気づかず通り過ぎてしまいそうです。
幹はさほど太くありませんが、根本の立て看板には「1602年に植えられた」と表記されていました。
周囲に観光客は皆無で、パリではとてもマイナーな存在だと思います。
静かにパリを長いあいだ見守っているんでしょうね。
そんな「いぶし銀」的なスポットを後にし、今度はモンテベロ通り(Quai de Montebello)をまっすぐ進んでサン=ミッシェル通り(Quai Saint-Michel)を歩きました。
この通り沿いには、「パリでいちばんせまい街路」であるシャ・キ・ペシュ通り(Rue du Chat Qui Peche)があります。
大人ひとりしか歩けないくらいの横幅で、こちらも注意していないと見過ごしてしまいそうです(笑)。
この通りを抜けて、ユシェット通り(Rue de la Huchette)沿いのアイスクリーム店「Amorino」(アモリーノ)にも立ち寄りました。
クリュニー美術から立て続けに妻の興味がない所ばかり観光していて、彼女がイライラし始めていたからです(汗)。
わたしは食べませんでしたが、少し機嫌が直ったようでなにより(苦笑)。
ルーヴル美術館を見学
さて次は美術館めぐりの大本命、ルーヴル美術館です。
ユシェット通りからサヴィエ・プリヴァ通り(Rue Xavier Privas)に進むと右側に偶然サン・ミッシェル=ノートルダム(Saint-Michel – Notre-Dame)駅の入口を見つけたので、そこから電車移動しました。
サン・ミッシェル=ノートルダムからB線でシャトレ=レ・アル(Gare de Châtelet – Les Halles)駅に向かい、そこの地下道でシャトレ(Châtelet)駅に行けばメトロ1号線で美術館の最寄り駅であるパレ・ロワイヤル=ミュゼ・デュ・ルーヴル(Palais Royal – Musée du Louvre)へたどり着けます。
ルーヴル美術館の入口は全部で4つあるそうです。
それらのなかでも駅から地下道で直結の入口がもっとも空いているらしいんですが、わたしたちは間違って地上に出てしまいました(汗)。
仕方なく目の前のリヴォリ通り(Rue de Rivoli)をわたって、次に空いているらしいリシュリュー入口(パッサージュ・リシュリュー)へ向かうことに。
しかしその入口もいまひとつよくわからず、結局いちばん混んでいるピラミッド前(ピラミッド中央入口の前)に出てしまいました(苦笑)。
ただ、そんな大混雑のルーブル美術館でも「パリ・ミュージアム・パス」を持っていれば問題ありません。
このパスのおかげで優先入場ゲートのほうから館内へ入れました(所要時間わずか3分!)。
メインフロアである「-1階」(地下1階に相当)は現代的な作りとなっていて、ここから伸びるエスカレーターを使ってリシュリュー翼・シュリー翼・ドゥノン翼といった3つの棟へ移動します。
ルーヴル美術館を効率よく見学するなら、これらの棟をどういうルートで回るか事前に考えておいたほうが良いでしょう。
わたしたちは西洋美術が展示されているドゥノン翼1階から見学を始めました。
西洋美術コーナーで鑑賞した作品のなかから、代表的なものの写真を以下にまとめます。
やはり『モナ・リザ』は大人気で、絵の周りにものすごい数の人が群れをなしてました(写真撮影にひと苦労…笑)。
防弾ガラスで厳重に保護されているのにも納得です。
こうした有名な作品のほかは大半が宗教画だったと記憶しています。
キリスト教徒でもないわたしには正直どれもあまりピンと来ず、途中から飽きてきたのは否めません(苦笑)。
天井画なども見ごたえ十分なんですが、やや食傷気味に…。
妻も同じく飽きていたようだったので、ふたりの興味が一致した古代エジプト美術を見て帰ることにしました。
シュリー翼の0階にあり、移動途中の部屋では『ミロのヴィーナス』も展示されています(こらも大人気)。
古代エジプト美術コーナーは西洋美術のそれより人が少なく、落ち着いて鑑賞できました。
作者不詳のものが多いですが、さまざまな埋蔵文化財が展示されています。
こうしてわりとテキトーに美術鑑賞をすませ(笑)、次はお昼を食べに「カルーゼル・デュ・ルーヴル」へ。
ルーヴル美術館の地下出口すぐそばのショッピングモールで、フードコート「レストラン・デュ・モンド」が併設されています。
しかしこのフードコートは激しく微妙かもしれません…。
すべての店を利用したわけではないですが、とある中華料理店はイマイチでした。
決して安くない価格(ふたりで3000円以上)にもかかわらず料理は冷めていておいしくなかったです。
ちなみにフードコート近くのルーヴル美術館特設コーナー(?)では、元SMAP・香取慎吾さんの企画展が行われていました。
実は事前に「香取慎吾がルーヴルで展覧会をやるらしい」との情報を知っていたんですが、まさか美術館の外でやっていたとは…。
日本のトップスターだった人といえど、さすがに館内で展示はできないんでしょうね。
オランジュリー美術館を見学
ルーヴル美術館の次はオランジュリー美術館に行ってきました。
「モネの庭園」(水の庭)を題材にした名画『睡蓮』が所蔵されている美術館です。
ルーヴル美術館からオランジュリー美術館へは、カルーゼル凱旋門、チュイルリー庭園を通り抜けて徒歩で移動できます。
この日も天気は快晴で、散歩していてなかなか気持ちが良かったです(人が多くて若干ストレスですが)。
目的のオランジュリー美術館は小規模でありながらも、かなりの観光客でにぎわっていました。
そのため横長の『睡蓮』を鑑賞するのは至難のわざで、何度も人が前を横切ります(苦笑)。
ゆっくりとモネの世界観に浸りたいなら、午前中か夕方に訪れたほうが無難かもしれません。
オランジュリー美術館には『睡蓮』のほかにもセザンヌ、ピカソ、ルノアールといった著名画家の作品がいくつか展示されているようです。
わたしたちは前述のとおり美術作品に食傷気味だったため、それらは見ずに退館しました。
コンコルド広場~シャンゼリゼ通り~凱旋門を散策
オランジュリー美術館を出たあとは、目の前のコンコルド広場からシャンゼリゼ通りを抜けて凱旋門(エトワール凱旋門)まで再び徒歩移動です。
この日は引き続き天気は快晴で、秋の風が心地よい絶好の散歩びよりでした。
いっぽう運動嫌いな妻はご機嫌ななめ…(汗)。
「足が疲れたから電車で移動したい」という妻の要望や「風邪ひいてるんだから無理しないで」との忠告をわたしが無視してシャンゼリゼ通りを歩き続けたからです(せっかくパリに来たのでどうしても譲歩できなかったんですよ…汗)。
そうして痴話げんかをしながら歩くこと30分くらいで凱旋門に到着…。
壮大な実物を見て、しずんだ気分が少し明るくなりました。
想像していたよりも巨大だったのが印象的です。
凱旋門を間近で見るには、「ARC DE TRIOMPHE」の看板がある地下通路を使います。
ここを通って地上に出ると、目の前には圧倒的な凱旋門!
太い4つの柱にはナポレオンが活躍した戦争に関する彫刻と、それにまつわる歴史・関係者の名前がが刻まれているそうです。
たしかに凱旋門の堂々とした見た目は、皇帝・ナポレオンの圧倒的な力強さを想起させます。
ちなみにわたしたちが観光した時間帯(午後6時ごろ)では、第一次大戦の無名戦士を追悼するセレモニーの準備が行われていました。
凱旋門は放射状に伸びる道路の起点に立っているので、凱旋門の周囲(シャルル・ド・ゴール広場)を歩くとさまざまな通りの風景を一望でき壮観です。
門のまわりをスムーズに走る車やバイクを見ていると「よく衝突事故が起きないなぁ」と感心します(笑)。
凱旋門に登る
凱旋門に来たからには、その頂上に登ってパリ中心の街並みを見わたすのも楽しみのひとつです。
パリ・ミュージアム・パスを使えば入場無料なので、やらない理由はありません。
ところが妻を誘ったところ大反対される目に…(汗)。
凱旋門頂上の展望台まで250段の階段を登るのが嫌だとのことで、「ひとりで登ってくれば。わたしは先にホテルに帰ってるから」と言われました。
対人恐怖症のわたしにとって異国の地でひとりで観光そして電車でホテルに戻るのは苦行です。
しかし旅行中のわたしに対する鬱憤と歩き疲れでイライラしている妻はそんな事情は考慮してくれず「病気の良いリハビリになるでしょ!」と言い放ち、わたしを置き去りにしていくのでした…。
このときすでに頂上に登るための行列に20分くらい並んでいる状態だったので、仕方なくひとりで登ることを決意。
周囲の視線に少しおびえながらも凱旋門の中へ入り、せまい石の階段をひたすら登り続けること約5分くらいで頂上に到着です。
エッフェル塔の階段のほうが段数が多かったぶん、意外とあっさり登れた気がします。
凱旋門からの眺めは、エッフェル塔やノートルダム大聖堂(塔)とは違った良さがありますね。
高さはあまりないですが、パリの中心に位置しているので主要スポットをひととおり眺望できます。
そしてシャンゼリゼ通りを近距離で見られるのも凱旋門だけです(イメージしていたよりもショボいと感じてしまいましたが…苦笑)。
こうして凱旋門登頂を達成し、そのあとホテルまでは当然ひとりで帰りました。
対人恐怖症にとっては電車に乗るだけでも大変に苦痛なんですが、妻が言ったようにリハビリになったのも確かです。
緊張で風邪の症状もほとんどなくなっていましたし(苦笑)。
ちなみに帰国してから気づいたんですが、凱旋門頂上に登る途中のお土産フロアまでエレベーターで登れるそうです。
そのフロアから頂上まで60段くらい階段を登る必要がありますが、この登り方なら妻もOKしてくれたかもしれません。
旅行6日目は美術家めぐりということで、できるだけ多数の作品をゆっくり見られるよう効率の良いルートで複数の美術館をまわりました。
ただ、電車を利用するまでもないほど近い距離での移動は徒歩が中心になりますので、必然的に体力を消耗することにもなります。
まさか凱旋門を前に妻と再度けんかするとはね…。
夕食を食べる気分にもなれなかったんですが、ホテルに帰還したら妻がテイクアウトを買っておいてくれました。
昨晩と同じ中華料理だったものの、感謝の気持ちが芽生えたわたしは反省しなんとか仲直り。
自分の人への思いやりのなさを恥じた夜です。