前日のオーロラ爆発の大興奮が冷めやらないまま迎えたイエローナイフ・オーロラ旅行5日目。
夕方までB&Bでくつろいだあと、イエローナイフの旧市街(オールドタウン)を散策しながら人気レストランへ行きました。
そして夜は、とうとう最後になってしまったオーロラ鑑賞です。
晩秋のオールドタウン散策
宿泊先のB&Bでブランチと休憩をとり、日が傾き始めたころオールドタウンの散策へ。
オールドタウンは、イエローナイフのラッサム島周辺の一帯のことを指します。
いわゆる旧市街なんですが、ラッサム島の南側には高級そうな別荘が立ち並んでいてハイソな雰囲気でした。
さらにラッサム島から橋を渡ると、目の前に坂が見えてきます。
それを登った先にあるのが、観光スポットにもなっている「パイロット・モニュメント」という石柱です。
坂の頂上にある公園(ラキーン・パーク)の近くに所在しています。
パイロット・モニュメントは「ザ・ロック」と呼ばれる岩石の丘の頂上にあり、石碑そばの階段から移動します。
この階段は鉄製なので、冬場に凍ると滑りそうで危険に思えました。
頂上の展望台からの景色は、なかなかの絶景です。
グレートスレーブ湖を360度に見渡すことができ、ラッサム島のオールドタウンはもちろん、イエローナイフのダウンタウンのほうまで眺望できます。
秋ならではの紅葉と湖の風景が素敵でした。
このパイロットモニュメント周辺はオーロラ鑑賞スポットとしても有名で、頂上に登れば街全体を包むオーロラが見られるそうです。
ただ頂上の狭い展望エリアには安全のための柵がないので、オーロラに見とれているとうっかり滑落してしまいそうな気がします。
「BULLOCKS BISTRO」で楽しい食事
次に向かったのは、オールドタウンいやイエローナイフ全体でも人気のレストラン「BULLOCKS BISTRO」(ブロックス・ビストロ)。
パイロットモニュメントからダウンタウン方向へ伸びる坂を下ると、すぐ左手にありました。
70年以上前から営業しているイエローナイフ屈指の老舗で、店のたたずまいからも歴史を感じます。
店内をのぞいてみると大盛況。
着いたのが午後6時くらいでちょうどティナータイムだったこともあり、20分ほど待ちました。
しかも席に通されたと思いきや、ほかの客との相席で対人恐怖症の身にはちとつらい…(汗)。
現代のレストランとは違う、昔ながらの食堂なので仕方ありません。
気を取り直して、まずはビールをオーダー。
(イエローナイフはカナダのノースウエスト準州にある都市ですが、「YUKON BREWING」というユーコン準州の地ビールだったのがおもしろい)
そんな謎ビールを飲みながら、メインディッシュの「White fish」(白魚のソテーのようなもの)を注文。
付け合せとして出されたパンを食べながら料理を待ちます。
すると隣に座っていた黒人男性がわたしに「そのパン食べていいですか?」と英語で聞いてきたので、相席ではパンをシェアするものなのだと理解。
これまでの旅程でパンに飽きていたわたしは「どうぞどうぞ」と返答しました。
そしてしばらくすると、その男性が今度は「どこから来たんですか?」と質問してきたのです(汗)。
英会話にも他人との交流にも慣れていないわたしはかなり動揺し、「日本からです」と作り笑いで回答するので精いっぱい(苦笑)。
しかしそこから男性はオーロラや日本のことなどについて色々と話しかけてくれ、とてもフレンドリーな方でした。
わたしも酒のせいか積極的になり、途中から男性に質問攻め(妻はその様子に驚いていた笑)。
結局、会話はかなり盛り上がり一緒に写真も撮りました。
注文した白魚料理のほうは評判どおり味付けが良かったです。
1人前でも大きな魚を夫婦ふたりでシェアしましたが、おいしいので2人前でも残さず食べられたかもしれません。
料理を食べ終え、別れ際にその黒人男性に「あなたのおかげで楽しい食事ができました」とあいさつ。
お互い笑顔で握手をして店を出ました。
オーロラ・ラストダンス
人として成長した気分にひたりながら、10分ほど歩いて宿に帰宅。
この日もオーロラ予報は「レベル2」くらいだったので、過度な期待はせず部屋でのんびり待機です。
あいかわらず妻はベッドでお眠り中…。
しかし22時ごろまたしても妻が急に目覚めて、窓のカーテンを開け出したのです。
外の夜空には、前日バルコニーで見たときより大きく色も鮮やかなオーロラが浮かんでいました!
急いで3階バルコニーから空を見上げてみると、肉眼でもハッキリ緑色とわかります。
リビングから別のほうこうに目をやると、そこにも複数の巨大オーロラ。
ラッサム島の住宅街のちょうど上空にオーロラが出現しているようでした。
さらにこれらのオーロラ群は途中から前日のように赤やピンクを混じえつつ、カーテンのように揺らめき脈動。
オーロラ旅行を締めくくるようなラストダンスを鑑賞でき、もう思い残すことはないくらいです。
後で気づいたんですが、このときAirbbB経由でオーナーから「いますごいオーロラが出てるよ。わたしたち自慢のダンスを見て!」とメッセージが来ていました。
あんな光景が家から見られるなんて、イエローナイフすごすぎます(笑)。
「オーロラ」と「天体観測」
街中でのオーロラダンスを目撃し、期待を持ちながら深夜1時すぎにラッサム島の例の鑑賞スポットへ出発。
「この調子で今夜もオーロラ爆発が見られそう」と思っていたんですが…。
島の北端に着いてみると、その後1時間以上オーロラはまったく出ていませんでした(笑)。
月がきれいで空は晴天だったものの、視認できるのは星だけ。
かろうじて午前3時ごろから小さいオーロラがポツポツと出現し始めました。
滞在していた4日間のなかで最低レベルのものだと思います。
前日からのオーロラ活動はさきほどの「ダンス」で終了してしまったようです。
ただ、オーロラは微妙でも星空が日本で見るよりかなり綺麗に見えたので退屈はしませんでした。
イエローナイフは高緯度に位置しているため、北斗七星やオリオン座などの星座を近距離で鑑賞できます。
とても迫力があり、日本では味わえない光景です。
オーロラ鑑賞の途中からは天体観測にモードチェンジ(笑)。
双眼鏡を持ってきていたので色々な星座や星をじっくり観察できました。
流れ星を20回以上は見たり、国際宇宙ステーション(ISS)らしき物体も見られたのは貴重な体験です。
天体観測をしているあいだはカメラを固定し、上記の写真のように定点撮影を行っていました。
後で見返して気づいたんですが、このときレベル2~レベル3くらいのオーロラが出現していたようです(タイムラプス動画を後日アップします)。
双眼鏡をのぞいてばかりだったので、肉眼では見られていません(笑)。
この日は空が明るくなるまでラッサム島に居つづけました。
もうオーロラには期待していませんでしたが(苦笑)、グレートスレーブ湖の夜明けを肉眼で見てみたかったのです。
だんだんと明るさを増していく空と、陸地との境界が露わになっていくグレートスレーブ湖。
周囲の音は何ひとつ聞こえず、世界にただひとりわたしだけが存在しているかのようでした。
急に孤独感に襲われ、対人恐怖症でも孤独に生きていくのは難しいかもしれない…とも思ったり。
宿へ戻る帰り道では、学生のころ好きだったBUMP OF CHICKENの『天体観測』をひさびさに聴きました。
ちなみに今年のバンプは『Aurora』(オーロラ)という新曲と、『aurora arc』(オーロラアーク)というニューアルバムをリリースしていたようです。
なんだか不思議な縁を感じる(笑)。
オールドタウンでの楽しい出会い、そして部屋から見たオーロラダンスと、5日目もエキサイティングな1日でした。
オーロラ鑑賞は尻すぼみに終わったものの、オーロラのはかなさを味わえたような気がします(前日にオーロラ爆発を見ていたから、そうも思えるんでしょうけどね笑)。