わたしは大学生時代に監視恐怖症を発症しましたが、そのときは自分だけが精神的におかしくなったのだと思っていたものです。
しかし最近「室間添随症」(しつかんてんずいしょう)という言葉を知り、監視する側のほうもなんらかの精神的な病気を抱えていたのかもしれないと考えました。
いっぽうで、やはり被害者側のわたしの妄想(「監視されている」「嫌がらせを受けている」と思い込む)に過ぎないという気もしています。
室間添随症という病気は実在する?
ネットでみかけた情報を簡単に要約すると、室間添随症とは、集合住宅の隣人の行動・生活スケジュールを監視してそれに合わせて付きまとう病気だそうです。
たとえば隣人が窓をあければ室間添随症の患者も窓を開けたり、上下階から物音がすれば患者も物音を出します。
このような症状にはわたしも心当たりがあるかもしれません。
大学生のころ監視恐怖症になったとき、アパートの斜め下の部屋の住人がそんな感じだったと記憶しています。
わたしが物音を立てると必ずその住人は咳をし、わたしが部屋を出るとその住人が玄関のドアを開けるといった具合です。
また以前にマンション住まいをしていたときは、真下の住人が室間添随症だったようにも思います。
わたしが窓の開け閉めをするとその数分後以内にはその住人も開け閉めをしましたし、外出先から帰ってきて部屋のドアを閉めるとやはり数分後くらいに真下からドアを閉める音が聞こえてきたのです。
水道水を使ってウォーターハンマー音を出してしまったときも、必ず同じようなハンマー音が聞こえてきました(確実に真下の部屋からの音かどうかはわかりませんが)。
ちなみに室間添随症患者には引きこもりの方が多いそうです。
たしかにわたしが遭遇した前述のふたりの住人のどちらもほとんど部屋にいる感じでした(わたしも似たようなものですけどね汗)。
引きこもっている自分の存在を隠すためにこうした「付きまとい」を行うらしいのですが、わたしの印象ではむしろ逆で、存在をアピールしているかのように感じました。
このようにわたしにはいくつかの経験があるので、室間添随症という病気の存在にはある程度の現実感があります。
ただ精神医学の文献や精神科のホームページなどで、この病名を目にしたことは一度もありません。
ヤフー知恵袋や2ちゃんねるなどでしかみかけない以上、室間添随症はまだ都市伝説に近いものだと思っています。
室間添随症は被害妄想から作り出された?
実のところ室間添随症は、被害を受けている(と思い込んでいる)側が作り出した妄想なのかもしれません。
相手を病人に仕立てあげれば、彼ら彼女らの「付きまとい」に納得できる理由が出来ます。
監視されてる気分になっても「この住人は病人だからな。かわいそうに」と気持ちを切り替えられるわけです。
わたしも含め、他人に監視されていると思い込みやすい方は被害妄想が強いですし妄想の癖がついています。
だから身の回りのあらゆる現象についつい因果関係を見い出してしまうんですよね。
室間添随症という概念も、被害妄想の強い方が作り出したものと考えることもできるでしょう。
(厳密には被害妄想というより、統合失調症でいう「注察妄想」(相手から監視されているという思い込み)に近い)
そもそも付きまといが本当に起きているのかどうかは、問題の住人本人の真意を知らなければわからないことです。
前述のわたしの大学生時代の例でいえば、わたしの出した物音がうるさいから咳をしただけで、付きまといをしようとまでは思っていなかったのかもしれません。
こちらが勝手にその住人の行動の動機を妄想しているだけという可能性があります。
もし仮に明らかな付きまといや嫌がらせだと思えたとしても、その住人本人でなければやはり真実はわからないでしょう。
前述のようにわたしがドアを閉めれば階下の住人もドアを閉めるといった場面に遭遇しても、こちら側の推測はあくまで妄想でしかないように思います。
わたしなんかは自分のことさえわからなくなるときがあるんですから、見ず知らずの他人の意図などわかるわけがありません。
室間添随症という病気は存在する気もしますが、現時点では被害者側(と思い込む方)の被害妄想ともいえそうです。
ただ、室間添随症が実在しようがしまいが、監視してくる(と思えてしまう)住人にとらわれないほうが良いことだけは断言できます。
妄想をふくらませ過ぎて自分の心を滅ぼす必要はありません。
別のことに時間を使ったほうが人生にとって有意義です。