近隣の生活音(物音・足音など)に悩まされていると、静かな部屋に引っ越したくなります。
そんなとき賃貸情報サイトなどをみても、どの物件が静かなのかわかりにくいですよね。
また不動産業者へ行って「防音のしっかりした物件を紹介してほしい」「騒音トラブルが起きない物件が良い」なとと要望を出しても、それに合ったものは滅多に紹介してもらえません。
生活音の問題については実際にそこに住んでみないとわからないからでしょう。

しかしわたしは今まで10回以上も引っ越しをしてきて、静かな物件の選び方というものがわかってきました。
雑音恐怖症になったほど物音に神経質な人間なので、防音性・遮音性の見極めにはこだわっているつもりです。
アパート」、「マンション」、「一戸建て」の3つの物件タイプに分けて、静かな賃貸の選び方をご紹介します。

アパート物件の選び方

賃貸物件

「選び方」と書いておいてなんですが、アパートタイプの物件は基本的に選ばないほうが良いでしょう。
アパートの作りは木造や軽量鉄骨造りとなっていて、防音性や遮音性がとても低いからです。

たとえ築年数が少なかろうが「最上階・角部屋」となっていようが、防音性能は高くありません。
角部屋でも隣、真下、斜め下のいずれかの部屋から生活音が聞こえてきます。
それに最上階だったとしてもアパートの場合は二階建てがほとんどなので、外の騒音にも悩まされる恐れがあるでしょう。

わたしは大学生のときアパートに住んでいましたが、生活音などに悩まされ心の病気が悪化してしまいました。
斜め下の住人の窓やドアの開け閉め音や咳・咳払いがうるさくてたまらなかったです(おかげで咳・咳払い恐怖症を発症しました)し、真下の住人の鼻をかむ音が丸聞こえで気持ち悪かったです。

アパートのなかには、台所、浴室、洗面所や押し入れを隣の部屋との緩衝材のように配置している物件もあります。
隣と壁一枚ではないので多少は防音効果が上がりますが、真下の部屋からの音は防ぎようがありません。
建物全体の構造が木造などである以上、どこからか生活音が聞こえてしまうはずです。

ちなみに物件の名前に「コーポ」や「ハイツ」といった単語が付いているものもアパートです。
最近では「メゾン」や「ヴィラ」、悪質なことに「マンション」といった言葉が付いているアパートもあります。
名前で判断せず、物件情報の詳細をみて建物の構造(木造・軽量鉄骨でないかどうか)を把握しましょう。

なお、予算の都合でアパートにしか住めない場合は防音グッズを使うのがおすすめです。
物音恐怖症者がおすすめする生活音対策グッズまとめ」、「寝るときの防音方法3つ。耳栓と環境音楽の併用がおすすめ」という記事をご参照ください。

マンション物件の選び方

マンションタイプの物件は、アパートより防音性能が高いです。
ただし選び方によっては、生活音に苦しむことになりかねません。

まず建物の構造はSRCかRCのものを選びましょう。
いわゆる鉄筋コンクリート造のことです。
ほかにもマンションには鉄骨造(S)や軽量コンクリート造(ALC)の物件がありますが、これらはアパートと大差ありません。

さらにSRCまたはRCのマンションであっても、どのようにコンクリートが使われているかで防音性に違いが出てきます。
部屋の壁全体で建物を支えるようにコンクリートが使われいる物件なら、防音性も遮音性も高いでしょう。
いっぽう部屋の柱のみで建物を支えているような物件なら、防音効果はあまり期待できません。
建設業界の専門用語では前者を壁式構造、後者をラーメン構造といいます。

物件情報をみるときや内見のとき、部屋に柱のような出っ張りがないか探してみてください。
もしあるのなら、その物件は完全なコンクリート造りではないと考えられます。
柱以外の部分は鉄骨造や木造になっているはずです。
壁などを叩いて軽い音がしたらラーメン構造なのは確実であり、防音性は低いといえます。

不動産業者の人に、部屋の構造が壁式なのかラーメン式なのか質問するのもアリだと思います(建物全体の構造を聞いても防音の点では無意味です)。
とはいえわたしの経験上、やはり業者はうまくお茶をにごしてきますので信用しすぎないほうが無難でしょう。

物件の構造を吟味したら、今度は部屋の位置についてです。
最上階の角部屋がベストなのは当然ですね。
次点として最上階の部屋をおすすめします。

最上階が良いのは、たとえ壁式構造であっても天井まではコンクリートでない場合もあるからです。
上階からの音は普通にうるさかったりします。

角部屋が見つからない場合は、隣の部屋とのあいだに前述のような緩衝スペースがある物件を選びましょう。
隣とのあいだに台所や浴室などが配置してある間取りであれば、壁に耳をつけても隣からの生活音は聞こえにくいです。
壁1枚で隣と部屋どうしがくっついてしまっている物件であっても、その部屋を普段ほとんど使わないなら問題ありません。

ここまで吟味すれば、だいぶ静かな部屋を選べるようになるかと思います。
ただマンションの場合は気密性が高いことが多いため、振動音(足音、ドアの開閉音、物の落下音など)が伝わりやすいです。
そのほかにも水道音(蛇口の開け締め時に「ドン」という衝撃音が聞こえるウオーターハンマー現象など)の問題があります。
こうしたリスクを避けたいなら、一戸建ての賃貸物件がおすすめです。

一戸建て物件の選び方

一戸建てタイプの物件は集合住宅とは違って、建物内部の生活音は気になりません(自分が出す物音は不思議と気にならないものですね)。
しかし地上に建てられた木造のものがほとんどなので、外の音はマンション上階よりも聞こえてきます。

そのため一戸建ての賃貸物件を選ぶときは、周辺環境を重視してください。
以下の3点を満たした物件なら静かな可能性が高いです。

  • 周囲の住宅との距離が近くない
  • 車の通りが激しくない
  • 犬などのペットの鳴き声が聞こえない

これらの条件を満たしているかチェックする際は、グーグルマップストリートビュー機能が便利です。
物件情報を頼りに住所から探せば、周辺環境の様子を確認できます。
周囲にどんな具合で家が建っているのか、幹線道路は近くにあるのか、犬小屋などでペットを飼っていそうな家はないか、などがわかるでしょう。
ただグーグルマップ(ストリートビュー)の情報は古い恐れもあるので、できれば実際に現地へ下見に行くのが一番の方法です。

前記の3条件からさらに静かな物件を絞り込みたいなら、2階建てのものを選びましょう。
1階と2階とでは騒音のレベルが違います。
基本的に2階で生活するスタイルにしておけば、近所の生活音も聞こえにくくなるはずです。

また最寄り駅からの距離や周辺施設の充実度も判断基準になります。
最寄り駅から離れていればいるほど、周辺施設が少なければ少ないほど良いでしょう。
利便性の悪い地域に住む人は少ないので、それだけ環境が静かになります。
田舎暮らしを視野に入れると、理想の物件が見つかりやすくなるかもしれません(生活に支障が出ないなら仙人のような山ごもりがベストかもしれません)。

以上、それぞれの物件タイプごとに選び方をまとめてみました。
一戸建てを選ぶなら周辺環境を、マンションなら建物構造を重点的にチェックしてみてください。
アパートは論外でしょう。

最後に1つ、どのタイプの賃貸でも共通してやっておいたほうが良いのは、近隣住民の調査です。
物件そのものは防音性・遮音性が高くても、近隣住民にトラブルメーカーがいたら無意味になるかもしれません。
現地の様子を慎重に見て、少しでも違和感があったらその物件を選ぶのは止めましょう。
共用スペースが荒れていたり入居者の出入りが激しい物件はとくに要注意です。