視線恐怖症になると日常のいろいろな作業が難しく感じ、「こんな状態で働けるのだろうか、就職できるのだろうか」「こんな状態でもできる仕事に転職したい」などと思ったりしませんか。
当記事では、視線恐怖症を長年かかえているわたしの立場から、症状が治らないままでもできそうな仕事について考えてみました。
視線恐怖症全般と4つの各症状(脇見恐怖症、他者視線恐怖症、自己視線恐怖症、正視恐怖症)に分けて、それぞれに適していそうな仕事をまとめています。
また、視線恐怖症でもやっていける仕事の探し方についても書いていますので合わせて読んでみてください。
視線恐怖症でも働けそうな仕事
まず視線恐怖症のどの症状でも働けそうなのは、在宅ワークです。
自宅(自室)での仕事なら、自分や他人の視線について悩まず働けるでしょう。
フリーランス、クラウドワーキングやアフィリエイトなどでは人と接する必要がほとんどありません。
わたしも在宅ワーク(おもにアフィリエイト)で収入を得ていますよ。
ただフリーランスについては、ウェブデザイナーやプログラマーといったWeb関係の仕事でないと在宅ワークは難しい気もします。
くわしくは下記の記事を参考にしてみください。
「対人恐怖症でもできるネット上の仕事まとめ」
宅配ドライバーや
トラック運転手の仕事もできそうです。
車の運転席は個室に近いので、視線をあまり気にせず済むでしょう。
前方の車・隣車線の車や対向車の視線が気になってしまう恐れはありますが、車間を空けたりサングラスをかけるなど工夫の余地があるはずです。
運転以外の仕事(荷物の仕分け・積み下ろし・受け渡しなど)についても、デスクワークにくらべれば人目が気にならないかと思います。
求人数は多くないですが、自然のなかで働く仕事も良いかもしれません。
たとえば農業の従事者(酪農、林業、漁業、水産業なども同様)、庭師、(馬などの)調教師などがあります。
自然を相手にひとりまたは少数で仕事をするので、人と接する機会は少なさそうですし視線恐怖症的につらい思いをする頻度も低いでしょう。
ただ同業者どうしや取引先との交流はあるはずなので、多少の人間関係は仕方ないと割り切って働けるかどうかが問題ですね。
ちなみに登山家や探検家なんていう職業もありますが、それだけで生計を立てるのは難しいといわれています。
脇見恐怖症でも働けそうな仕事
脇見恐怖症のみに悩んでいる場合は、パーティション(仕切り)のあるオフィスで働くのがベストです。
たとえば外資系のオフィス、
IT系、
デザイン系の会社だとパーティションが置いてある職場が多くあります。
自分の視界に人が入らない環境が用意されていれば十分で、個室にこだわる必要はありません。
パーティションがありさえすれば、大部屋タイプの職場でもやっていける気がします。
ただオフィス以外(工場など)となると、パーティションのような仕切りを作業集中のために設置している職場は少ないです。
オフィスワーク以外の仕事で働きたいなら、縁の太い伊達メガネを使うという手があります。
太い伊達メガネをかけると横の視界がさえぎられ症状が生じにくくなったりしますので、パーティションがない職場でも働きやすくなるでしょう。
つまりどんな職業・仕事でも症状を気にせず働けるようになるかもしれない、ということです。
サングラスを使うという方法も考えられますが、ほとんどの職場では難しそうですね(汗)。
アパレル系・
音楽系の職業なら許される職場もあるでしょうが、堅いイメージの職業(銀行員・公務員など)ではまず無理です。
脇見恐怖症について上司に説明すれば使用許可の下りる場合がほかにもっとあるかもしれません。
他者視線恐怖症でも働けそうな仕事
他者視線恐怖症なら、個室で働ける仕事が理想です。
ただ完全な個室で働けるのはホワイトカラーの幹部、大学教授や研究職(研究員)くらいな気がします。
こうした職種に就ける人は限られていますので、妥協案としてパーティションのある職場を選ぶと良いでしょう。
できれば少人数のオフィス(作業部屋)か、または大きな会社でもオフィスが細かく分かれている組織をおすすめします。
同じ空間にいる人の数が多いと視線のプレッシャーを感じやすいですからね。
または独立して個人事務所を設立し、そこに自分用の個室を作るという方法もあります。
そのために士業の資格を取ったり起業したりするのはおかしな話かもしれませんが、仕事が人生に占める割合は大きいですので検討してみる価値はあるはずです。
前述の脇見恐怖症のケースと同じくサングラスをかけながら働くのもひとつの方法で、仕事中に他人に見られてもこわく感じないでしょう。
同様の考え方として、着ぐるみスタッフなどの仕事(バイト)も他人の視線をあまり気にしなくなりそうです。
ちなみに、自分から他人に視線を向けると症状がやわらぐ人もいるかと思います。
わたしがそうで、電車で目をつぶって座っているより目を開けて周囲を見ていたほうが安心するときがありました。
もしこうした症状の他者視線恐怖症であれば、警備員、
交通量調査や
プール監視員の仕事も合いそうです。
自己視線恐怖症でも働けそうな仕事
自己視線恐怖症の場合は、脇見恐怖症の場合と考え方が似ています。
視界に誰もいない状態で働くのが理想であり、パーティション付きのオフィスなら仕事しやすいでしょう。
サングラスをかけられるならそのほうがベストなのは言わずもがなですね。
オフィス以外であれば、工場のライン作業が定番です。
ほかの従業員とは横一列に並んで働く形になるので、自己視線恐怖の心配が多くありません。
また、コールセンターでのテレフォンオペレーター業務もおすすめです(電話受付などの仕事も同様)。
電話相手のほうに意識が向くため、目の前にパーティションがない職場でも自分の視線の置き所に悩みにくい気がします。
もちろん電話相手に対しても視線を気にする必要がないですね。
そのほか、飲食業の料理人なども良さそうです。
視線を送る先はだいたい食材や調理器具などでしょうから、自己視線恐怖症でも働けるかもしれません。
正視恐怖症でも働けそうな仕事
正視恐怖症のみ患っているなら、働ける仕事の選択肢は多いでしょう。
接客業や営業職でなければ、特定の人と長いあいだ顔を合わせ続ける必要はあまりないですからね。
もちろん接客業以外の仕事でも職場で人と向かい合って話す場面はあります。
ただ、そのほとんどが簡単な業務連絡や軽い雑談といった短時間のものなら正視恐怖症でも乗り切れるはずです。
ちょっとした会話なら、相手のおてこや鼻を見ながら話すといった対処策でごまかしごまかしやっていけるのではないでしょうか。
また販売業は接客業に近いイメージですが、客の顔をちゃんと見なくてもやっていけると思います。
たとえばコンビニ店員の方たちは、流れ作業みたいな感じで客と目をほとんど合わせずレジをやっていますよね。
スーパーや
ドラッグストアの店員も同様です。
さらに接客業でも、ファミレス、
カフェ、
居酒屋といった飲食店での仕事なら問題ないかもしれません。
ひとりの客とがっつり会話をしている暇はないはずですからね。
正視恐怖症の症状によっては、飲食店で働くのが気楽という人もいるでしょう。
視線恐怖症でもできる仕事の探し方
ここまで視線恐怖症でもできそうな仕事についてまとめてみましたが、あくまで一例です。
視線恐怖症の細かな症状は人それぞれだと思いますので、前述のような仕事が合っているとは一概に言い切れません。
自分の症状を十分に把握し、それに合った仕事を探すのが一番の方法でしょう。
まずは、
「どんな場面でつらさや苦しみを感じるのか?」
「どういった環境なら快適に作業できそうなのか?」
といったように、具体的な症状や病状を確認しておくことが大切です。
次にそうした症状・病状でも働けそうな仕事を探すわけですが、求人情報サイトなどをみても判断しにくいかもしれません。
職場の雰囲気についての説明や職場の写真が載っていたとしても、本当に視線恐怖症でもやっていけるのかわからない場合もあるかと思います。
そこで仕事の探し方としておすすめしたいのが、求人紹介サービスの利用です。
面談などをつうじて担当者に自分の症状におうじた希望条件(「パーティションありの職場で働きたい」「営業職は避けたい」など)を伝えておけば、自分でもできそうな仕事や働きやすい職場を紹介してもらいやすいでしょう。
求人紹介サービスには、ハローワーク、就職エージェントや転職エージェント
などがあります。
わたしの経験をふまえるとハローワークはいわゆる「お役所仕事」という感じで、親身に相談に乗ってくれる職員は少ないですし求人の質も悪いです(ブラック企業の求人も多い…)。
民間の就職エージェント・転職エージェントのほうが、同業社との競争が激しいぶん熱心に対応してくれるでしょう。
症状が深刻な場合は精神障害者向けの就労支援サービス(「ラルゴ高田馬場」、「atGP(アットジーピー)
」など)を利用してみるのも手です。
正社員への就職にこだわらないなら人材派遣サービスを利用するという方法もあります。
派遣会社に希望の職場条件などを伝え、それに適した派遣先企業を紹介してもらうという流れです。
アルバイトについては、残念ながらこうしたサービスはありません。
ただハローワークではバイトの求人情報もありますので、相談を受け付けてくれるとは思います。
視線恐怖症の各症状すべてをもっているわたしからみて、視線恐怖症でもできそうな仕事は決して少なくないようです。
自己視線恐怖症<他者視線恐怖症<脇見恐怖症<正視恐怖症の順に仕事を探しやすくなる気がします。
とはいえ上記の内容はあくまで個人的な見解ですので、それに縛られる必要はありません。
ご自身で症状を把握し、必要におうじて就職エージェントなどを利用しながら仕事探しするのが無難です。
なお視線恐怖症は対人恐怖症の一種でもあるので、下記の記事もご参考ください。
「対人恐怖症者採用の求人はないが、できそうな仕事ならある」