自宅で仕事をしている個人事業主の場合、確定申告で経費を計算するときに家事按分をしますね。
はじめは事業割合と家事割合の比率をどうするか迷ったりしますが、何年か確定申告を行っていくうちに家事按分のマイルールが決まってくるものです。

当記事では確定申告の家事按分について、個人事業主であるわたしの具体例を5つまとめてみました。
ちなみにわたしの仕事はブログ執筆・ウェブサイト運営です。
職業によってはわたしのやり方がふさわしくないかもしれないのでご注意ください。

家事按分の対象となる経費

家事按分比率の話に入る前に、按分の対象にしている経費をまとめました。
カッコの中身は、対象となっている具体的な補助科目名です。

これら5つの経費について、家事按分の具体例を以下からご紹介します。
なお水道料金やガス料金はそもそも経費に入れていないため、家事按分の対象としていません。

水道光熱費(電気料金)の家事按分

水道光熱費(わたしの場合は電気料金)の家事按分をする際は、「電気使用量」を基準にして比率を考えます。

まずは1日の使用量を計算。
仕事用に使う電化製品(パソコン、エアコンなど)の消費電力を調べていきます。
そして、それぞれの消費電力に対してその電化製品の使用時間を掛け算し、電気使用量を算出。
計算式はこんな具合になります。

消費電力(kw) x 使用時間(h) = 使用量(kwh)

電化製品ごとに使用量を計算しそれぞれを合計して出た数値が、1日の仕事での電気使用量です。

次に、この1日の使用量をもとに年間の使用量を計算します。
それを年間の総使用量(仕事以外の電気使用量を含めたもの)で割って、事業割合を算出。
計算式は以下になります。

仕事での年間使用量 ÷ 年間総使用量 × 100 = 事業割合(%)

この式で出た事業割合をもとに、電気料金の家事按分を行えばOKです。
たとえば事業割合が「40(%)」なら家事割合は「60(%)」となります。

地代家賃の家事按分

部屋の間取り図

地代家賃(賃貸物件の家賃)の家事按分比率を考えるときは、「使用面積」を基準にしています。

まずは物件内の仕事場の面積を計算。
この面積が、「経費として賃貸物件を使用した面積」です。

次に、仕事場の面積が賃貸物件全体に占める割合(つまり事業割合)を計算します。
計算式は以下のとおりです。

仕事場の面積 ÷ 賃貸物件全体の面積 × 100 = 事業割合(%)

これで、地代家賃の事業割合が算出できます。
たとえば家賃が7万円で事業割合が30パーセントなら、家事按分後の経費は2万1千円です。

損害保険料の家事按分

損害保険料(賃貸物件の火災保険、地震保険などの各料金)の家事按分も、地代家賃の場合とまったく同じやり方です。
仕事用に使っている場所の面積を基準にして、事業割合・按分比率を計算します。

この火災保険料は、経費に計上し忘れやすいものかもしれませんね。
とくに賃貸物件の火災保険料は毎年請求されるわけではないので、経費計上していない人もいるのではないでしょうか。
賃貸住まいの人は、火災保険料の記帳漏れがないかチェックしてみてください。

なお上記に関連して、部屋の修理・メンテナンスなどを行った場合は、それらの費用も修繕費として家事按分できます。
家賃・損害保険料と同じく、修理費用に事業割合を掛けて経費計上しましょう。

通信費の家事按分

通信費(インターネット接続、プロバイダー、携帯電話などの各料金)については、「使用時間」で家事按分します。
事業割合は、次の計算方法で算出します。

仕事で使用した時間 ÷ 全体の使用時間 × 100 = 事業割合(%)

それぞれの通信機器を仕事で使う時間を計算していき、それらの合計時間を総使用時間で割るわけです。
ただし各機器を同時に使っている場合の重複分は除きます(たとえばネット接続とプロバイダーは基本的に同時に利用するものですよね)。

ちなみに携帯電話料金も経費にいれているのは、スマホを使って仕事の情報収集をしているからです。
もちろんプライベートの使用時間は経費に入れていません。

電子機器代の家事按分

ここでいう「電子機器」とは、スマホ本体、デジタルカメラ、電子メモ帳、ICレコーダー、電子辞書、携帯音楽プレーヤーなどのことです。
それらも仕事に使っているなら、通信費の場合と同様に家事按分ができます。

仕事での使用時間を、プライベート用も含めた総使用時間で割ればOKです。
たとえばスマホを仕事で使っている時間が1日あたり1時間、スマホ総使用時間が1日あたり4時間なら、事業割合は「20(%)」となります。

なおパソコンも電子機器ですが、わたしは100パーセント仕事用に使っているので家事按分を行っていません。
プライベートでもパソコンを使用している場合は、その購入価格が10万円以上であれば減価償却して家事按分をする必要があります。

以上、家事按分の具体例のご紹介でした。
ブログ執筆などの在宅仕事では、電気・通信関連と住宅関連の費用がおもな対象です。

事業割合と家事割合の具体的な比率については、わたしのやり方以外にも多数あるでしょう。
以前ネットで調べてみたとき、電気料金を按分する際に「消費電力」を基準にする人や、家賃を按分する際に「仕事時間」を基準に計算する人を見かけました。

家事按分の方法に完璧な正解はありません。
税務署の職員が納得できそうな根拠にもとづいて比率を決めれば良いかと思います。
どういう理由でそういう按分の仕方をするのかをノートなどにまとめておくと便利ですよ。